実家の片付け・売却のポイントは?流れ・費用・期間・注意点
親御さんが亡くなられたときや、住み替えをされるときには「実家を片付けて売却する」ことが、しばしば必要になります。このようなとき、多くの人が知りたいと思うのは下のような点でしょう。
この記事では上記の内容を説明しつつ、雑誌に掲載された多くの方々の体験談(アンケート)や、実家を売却した後悔するパターンなども、合わせて紹介します。これから実家を片付けて売却する方には、きっと役立てていただけるでしょう。
- 実家を片付けて売却する流れは?6つのやること・手順を解説
- 遺品・不用品を整理する
- 相続登記をする(親が亡くなられた場合)
- いい不動産業者を探す
- 業者と仲介契約を結ぶ
- 売却活動を行う(広報・内見対応など)
- 購入者と契約・支払い・引き渡し
- 実家の片付けから売却までにかかる費用は?目安額・税率の一覧
- 遺品整理(不用品回収)の料金…2.5~20万円
- 相続登記の登録免許税…評価額×0.4%
- 不動産会社の仲介手数料…価格の3%+6万円(上限)
- 司法書士への依頼報酬…3~8万円
- 実家の片付け・売却にかかる期間は?それぞれの平均を解説
- 片付け…3カ月未満が50%だが、1年以上も20%
- 売却…3カ月(高めで売るなら6カ月)
- 実家の片付けと売却の注意点・ポイントは?
- 最初に大まかなスケジュール・計画を立てる
- 残すべき遺品を把握しておく
- 代行業者の相場を把握し、各社の料金を比較する
- 親の引っ越しの場合は引越会社のサービスと比較
- 仏具・神具・人形などは、それぞれに合った方法で処分する
- 空き家のまま放置することは極力避ける
- 実家の片付けの体験談・アンケートの統計
- 片付け・処分を始めたきっかけは?
- 実家の片付けや処分を検討している?
- かかった時間・日数は?
- かかった金額は?
- 実家を売却して後悔することは?よく見られる2つのパターン
- 子供時代が懐かしくなっても戻れない
- 悪質な遺品整理・不動産業者にまかせてしまった
- まとめ
実家を片付けて売却する流れは?6つのやること・手順を解説
まず知りたいのは「片付けから売却まで何をするのか」「どんな流れなのか」という点でしょう。ここでは、6つのステップに分けて、やることと流れを説明していきます。
遺品・不用品を整理する
まず、遺品や不用品を片付ける必要があります。
- 親御さんが亡くなられている場合…遺品
- 親御さんが生きてみえる場合…不用品
上のものをそれぞれ片付けます。親御さんが生きてみえるのは「住み替え」や「老人ホームへの入居」などのケースです。
(遺品整理業者と不用品回収業者の違いはこちらの記事を参考にしていただけたらと思います)
相続登記をする(親が亡くなられた場合)
親御さんが亡くなられている場合、相続登記が必要です。しなければ、家の名義が親御さんのままだからです。他人の不動産を売る」ことはできないため、相続登記をして「自分の名義」にする必要があります。
このような相続の手続きは、遺品整理業者にそのまま代行を依頼することもできます。弊社でもそのサービスを提供しております。ご興味のある方は「相続手続きの代行」のページをご覧いただけたらと思います。
いい不動産業者を探す
不動産を個人で売るのは難しいものです。大抵は業者に売ってもらう方がうまく行きます。そのため、信頼できる業者を探すことが重要です。
遺品整理業者と提携している不動産会社もおすすめ
遺品整理を自力でなく業者に依頼して行った場合、そこと提携している不動産会社に依頼するのもおすすめできます。理由は下の通りです。
以下、それぞれの理由について詳しく解説していきます。
業者探しの手間が省ける(探す労力は意外と大きい)
当然ながら、不動産を高く売ってくれるいい業者を見つけるのは難しいものです。「一括査定を使えばいい」と思うかもしれませんが、そう簡単ではありません。一括査定には下のようなデメリットがあります。
- 最初に約束した価格で、業者が売ってくれないこともある
- 「両手取引」によって、相場より安く売られることがある
- 不審に思っても、専任媒介契約を結んだら、3カ月は業者の変更をできない
売却の一括査定では、各社が「うちなら高く売れます」とアピールをしてきます。その価格が高い業者と契約するわけですが、その約束どおりの価格で売ってくれるとは限りません。何かと理由をつけて「やはり○○万円では難しそうです」などと言われることも多くあります。
そのように業者がわざと価格を下げるのは「安い方が買い手が見つかりやすい」からです。そして、売り手だけでなく買い手からも仲介手数料をもらうことで、単純計算で2倍の収益を得られるのです。これを両手取引といいます。
この手法は大手の不動産会社でもごく当たり前のように行っており、どれだけ信頼できる会社だと思っても、リスクがあると覚悟しておきましょう。両手取引が大手の間でも一般的なことは、下の記述でわかります。
大手不動産仲介会社の2018年3月期の両手取引の比率を試算したところ、驚くべきことに両手取引率が50%を超える会社が珍しくなく、両手取引が蔓延していることが判明した。
大手不動産仲介会社は、「両手取引」が蔓延?!住友不動産販売の「両手比率」は62.75%!(ダイヤモンド不動産研究所)
このようなフェアでない手法を業者がとっていても、「専属専任媒介契約」や「専任媒介契約」を結んでいると、3カ月は業者を変更できないのです。3カ月過ぎれば解約できますが、余計な手間と時間がかかりますし、売れなかった間に実家の価値も落ちてしまいます。
こうした不正が蔓延している状態なので「いい業者を探す」というのは、相当に大変なことなのです。
遺品整理の業者が優良なら、提携する不動産業者も信頼できる
一括査定などで探す業者は、上の段落で述べた通り、必ずしも信用できるとは限りません。ダイヤモンド社が指摘しているとおり、日本トップレベルの大手でも危ないわけです。
この点、遺品整理業者と提携している不動産会社の場合、遺品整理の業者が良心的なところであれば、不動産会社も良心的だと信用できます。もちろん、その逆もあるでしょう。遺品整理業者が悪質であれば、不動産会社の方も悪質ということです。
ただ「提携業者に頼もう」と考えた時点で、遺品整理の業者は優良だったはずです。ということは、上に書いたような「逆のケース」はまずなく、遺品整理の業者と同じく、信頼できる不動産会社を紹介してもらえるでしょう。
提携業者なら、遺品整理の料金が大幅に割引されることも
遺品整理の業者によっては、提携の不動産会社に売却を依頼することで、遺品整理の料金を大幅に割引するサービスを提供しています。たとえば「最大半額」などです。
実はこのサービスは弊社も提供しております。詳細は「不動産整理」のページでご説明しているため、興味がある方はぜひご覧くださいませ。
業者と仲介契約を結ぶ
いい業者が見つかったら、仲介契約を結びます。ここで重要なことは、よほど信頼できる業者でなければ「一般媒介契約」にしておくことです。
これなら、その業者の売り方に疑問を持ったとき、他の業者に仲介を依頼できます。また、最初から他の複数の業者に同時に依頼することもできます(基本的に、一般媒介契約を選択する方は、最初からそうすることが多いものです)。
信頼できる業者が見つかれば、逆に専任媒介契約か、専属専任媒介契約を結ぶのがいいでしょう。その方が「あなたの物件の売却に注力してもらえる」ためです。
売却活動を行う(広報・内見対応など)
業者が決定したら、あとは実際に売り出す売却活動を行います。具体的には主に下の2点です。
広報 | 物件の情報を売買サイトなどに載せる。売り主の仕事は写真撮影への協力など |
---|---|
内見対応 | 購入希望者が内覧を希望したら、それに対応する |
広報については、基本的にほとんどやることはありません。内覧は受け付けないこともできますが、受け付ける方が売却しやすくなります。
購入者と契約・支払い・引き渡し
買い手との交渉がまとまったら、後は下の流れとなります。
- 契約書を作成
- 買い手が支払いをする
- 物件を引き渡す
その後、業者に対する仲介手数料の支払いなどの事務作業をしたら、すべてが完了となります。売った後の瑕疵(欠陥)については、責任をとるのは業者なので、売り手の方は気にする必要がありません。
実家の片付けから売却までにかかる費用は?目安額・税率の一覧
実家を片付けて売却するとき「全部でいくらかかるのか」という費用面も気になるでしょう。ここでは、必要になる出費ごとに、目安の金額と税率などの料率を説明していきます。
遺品整理(不用品回収)の料金…2.5~20万円
まず、片付ける段階で費用がかかります。遺品整理か不用品回収の業者に、作業を依頼する料金です。
これは間取り別に目安金額が決まっていることがほとんどです。たとえば弊社の場合、下のような基本料金となっています。
間取り | 基本料金 |
---|---|
1K | 24,000円~ |
1DK | 54,000円~ |
1LDK | 69,000円~ |
2DK | 99,000円~ |
2LDK | 119,000円~ |
3DK | 139,000円~ |
3LDK | 149,000円~ |
4DK | 169,000円~ |
4LDK | 189,000円~ |
これはあくまで最低料金であり、状況によってこれより高くなることもございます。しかし、最低料金はおおむね2万5000円~20万円程度と考えていただいていいでしょう。
実際にかかった金額は?
東洋経済のアンケートによれば、実際にかかった金額は下記のようになっています(わかりやすく概算しています。詳細はこちらの段落をご覧ください)。
かかった金額 | 割合 |
---|---|
0円 | 30% |
10万円未満 | 30% |
10万~30万円 | 20% |
それ以上 | 20% |
こうして見ると、10万円未満が6割で、8割は30万円までといえます。つまり、基本的に30万円は超えないといえるでしょう。
相続登記の登録免許税…評価額×0.4%
実家を売るためには、先に「名義を自分のものにする」必要があります。いわゆる相続登記です。
このためには「不動産登記簿の書き換え」が必要になります。そして、そのためには「書き換えの手数料」がかかります。これが登録免許税です。
登録免許税は物件の評価額で決まる
登録免許税がいくらかは、物件の評価額(役所が決める価値)で決まります。ただ、税率は固定で「0.4%」です。
正確には「1000分の4」と表現します。該当する区分は「相続、法人の合併又は共有物の分割」です。
【参考】登録免許税の税額表(国税庁)
なお、土地に関しては令和3年3月31日までは免税となります。これは下の記述でわかります。
本来,土地の価額に対して0.4%(1000分の4)の税率がかかるところ,平成30年4月1日から令和3年3月31日までの間は,免税となります。
相続登記の登録免許税の免税措置について(法務局)
不動産会社の仲介手数料…価格の3%+6万円(上限)
実家の売却を不動産会社に仲介してもらう場合、その手数料がかかります。これは法律で上限が決まっており、「売買価格の3%+6万円」となっています。これ以上業者がもらうことは違法です。
正確には「400万円以上なら3%」
上の3%という数字は、正確には「売買金額が400万円以上だった場合」です。一戸建てなら大抵はこの金額になるため、ここではあえて「3%」としました。
しかし、実際にはそれより低い金額の場合も含め、下のような料率が設定されています。
取引金額 | 料率 |
---|---|
200万円以下 | 5% |
200万円超~400万円以下 | 4% |
400万円超 | 3% |
【参考】仲介手数料について(公益財団法人・全日本不動産協会)
厳密には上記のようになるものの「大体3%+6万円」と考えていいでしょう。
司法書士への依頼報酬…3~8万円
相続登記を司法書士に依頼する場合の報酬は、3~8万円と、相場の価格帯がかなり広くなっています。以前は司法書士報酬規定というものがあり、それでは1万8000円~2万円程度でした。
(所有権の移転登記で、価格が500万円までという条件の場合)
しかし、現在ではこの報酬規定は撤廃されており、それぞれの司法書士事務所が自由に料金を設定できるようになっています。そのため、上記のように3万円~8万円程度と、幅が広くなっているのです(中には2万円などの格安の事務所もあります)。
※旧報酬規定の参考サイトはこちら→旧司法書士報酬規定(さがみ法律事務所)
遺品整理業者と提携している事務所なら安くなることも
遺品整理業者の中には、司法書士事務所と提携しているところもあります。そのような事務所であれば、相場よりやや安い金額で依頼できることもあるでしょう。
実家の片付け・売却にかかる期間は?それぞれの平均を解説
片付けから売却までの計画を立てるとき「一般的にどのくらいの期間がかかるのか」という点も気になるでしょう。ここでは、片付け・売却のそれぞれで必要になる期間の平均を紹介します。
片付け…3カ月未満が50%だが、1年以上も20%
実家の片付けは、3カ月未満の短期間で終わる人(家庭)が、約50%となっています。一方で、1年以上という長期間かかる人も20%程度存在します。
この調査の詳細はこちらの段落で詳しく解説しています。
売却…3カ月(高めで売るなら6カ月)
不動産は一般的に3カ月以内に売れることが多いとされています。しかし、利益を出すために高めの値段を設定している場合、6カ月程度かかることもあります。まとめると「3~6カ月」ということです。これは下の記述でわかります。
あくまで目安ではありますが、実際に3ヶ月以上かかると精神的な負担が大きくなります。ストレスを溜めずに売却するためにも、3カ月から半年の間で売れるようにすべきといえるでしょう。
実家の片付けと売却の注意点・ポイントは?
どんなことでも、特に重要なポイントや注意点を押さえておくことで、スムーズに運びやすくなるものです。ここでは、実家の片付けと売却で特に意識すべきポイントと注意点を解説していきます。
最初に大まかなスケジュール・計画を立てる
どのような仕事でも、最初に大まかなスケジュールや計画を立てる必要があります。実家の片付けと売却の場合、特に重要になるのは「相続税が発生するかどうか」です。
相続税の申告期限は10カ月以内
相続税は、故人が亡くなってから(相続が発生してから)10カ月以内に申告しなければなりません。相続税は、簡単にいうと遺産の総額が3600万円を超えると発生する可能性があるものです。正確には「3000万円+600万円×相続人の人数」です。
このため、故人の通帳などの財産を先に調査し、遺産の総額を確認する必要があります。これで相続税が発生しないことがわかったら、その先はそれぞれのご家庭のペースで進めてかまいません。
これは「遺品整理はいつからすべきか」のページでも書いていますが、遺品整理の時期についてのルールはないためです。四十九日の前後などの法要との関係もありません。
(こうしたタイミングについては「遺品整理の時期」のページでも解説しているため、興味がある方はこちらも参考にしていただけたらと思います)
残すべき遺品を把握しておく
遺品の中には、税申告などの関係で「残さなければならないもの」がいくつかあります。事前にそれを把握し、それだけは絶対に処分しないようにすることが必要です。
業者に依頼する場合は、業者の方で注意してくれることが多いものです。しかし、遺品整理を自分でやる場合は、事前に遺品整理で残すものをよく理解した上で進めるようにしましょう。
また、中には未熟な業者が遺品を勝手に処分するなどのトラブルもあるため、業者選びにも注意が必要です。
代行業者の相場を把握し、各社の料金を比較する
代行業者に片付けを依頼する場合は、まず料金の相場を把握しておく必要があります。その上で、各社の見積もりが適切であるかを比較しましょう。また、依頼する内容を絞るなどの工夫で、遺品整理の費用を安くすることも可能です。
料金は同じ間取りでも一軒家かマンションかなどの諸条件で異なります。たとえば一軒家の片付け費用は、下の記事で詳しく解説しています。
親の引っ越しの場合は引越会社のサービスと比較
通常、実家を片付けて売却するとなると「遺品整理・不用品回収の業者」→「不動産会社」という流れでプロのサービスを利用します(もちろん、すべて自力で行ってもかまいません)。
しかし、親御さんがご健在で不用品もそれほどない場合「親御さんの引っ越し」のような形になることもあるでしょう。その場合は、引越会社が提供するサービスと、遺品整理や不用品回収の業者のサービスを比較することも重要です。
この比較は「引っ越しの不用品処分」のページを見ていただくとわかりやすいでしょう。
仏具・神具・人形などは、それぞれに合った方法で処分する
実家には、若い世代の家庭ではあまり見られない「古いもの」がしばしば置かれているものです。特に宗教が関わる特殊な品物については、それぞれに合った方法で処分する必要があります。
たとえば神棚・仏壇・位牌・お札などが好例です。これらは寺社にお焚き上げを依頼するなどして処分します。遺品整理業者なら、合同供養なら無料ということもあります(弊社サービス説明ページへリンク)。
骨董品は高額買取を期待できる業者にまかせる
五月人形などの骨董品・高級品については、ただ処分するのではなく、高値で買い取ってくれると期待できる業者に査定を依頼すべきです。五月人形の処分や買取については、下の記事を参考にしていただけたらと思います。
また、弊社の買い取りサービスについては「遺品の買取」のページで詳しくご説明しています。
空き家のまま放置することは極力避ける
親御さんが亡くなって実家が空家になることはしばしばあります。このようなとき「忙しいし、しばらく放っておこう」と思うこともあるでしょう。
短期間ならそれでも問題ないのですが、空き家を長期間放置することは極めて危険です。空き家の放置には「放火・不法投棄・犯罪の温床になる」などのリスクがあるためです。このため、すぐに売却はできなくとも、空き家掃除などの定期的なメンテナンスはすべきといえます。
一軒家の遺品整理の料金はいくらかかる?
定期的なメンテナンスの前に、最初に不用品をまとめて処分するなど、少々大規模な遺品整理をしておく必要があります。この場合の費用の目安は「一軒家の遺品整理の料金」のページをご覧ください。
親御さんが孤独死されてしまった場合
親御さんが亡くなって空き家になるということは、その亡くなり方が「孤独死」だったケースもあるでしょう。その場合は、状況によって遺品整理の内容が変わってきます。この点は「孤独死が起きた空き家の整理」のページで解説しています。
基本的に孤独死が起きると、親御さんでもその他の方でも、遺品整理が相当に困難になるものです。そのため、こうした事態が起こらないよう「孤独死が起きる前の対策」をできるだけ立てて実行していただくのがいいでしょう。
実家の片付けの体験談・アンケートの統計
実家を片付けて売却するとき「他の人はどうしたのか知りたい」ということも多いでしょう。ここでは、そのようなときの参考となる体験談とアンケート結果が掲載された記事を紹介します。
【参考】これが「実家の片づけ」に悩む人の実態だ!(東洋経済ONLINE)
体験談は上記の記事に書かれています。ここでは、アンケートの結果を紹介させていただき、それに遺品整理業者としての解説を加えていきます(以降のアンケート結果は、リンク先の円グラフを表に書き起こしさせていただいたものです)。
なお、ここでは東洋経済のアンケート結果を紹介させていただきますが、具体的な個別の体験談(弊社収集)は、下の記事でまとめています。
片付け・処分を始めたきっかけは?
始めるきっかけは、圧倒的に「親が亡くなった」が多く、約半数となっています。下の表のとおりです。表の「親」というのは、どの項目も「自分または配偶者の親」です。
きっかけ | 回答した人の割合 |
---|---|
親が亡くなった | 47.4% |
親の転居が決まった | 19.6% |
親との同居が決まった | 9.1% |
その他(ゴミ屋敷化など) | 23.9% |
以下、それぞれのきっかけについて、詳しく解説していきます。
親が亡くなった
この理由がトップであるのは、誰でも納得できるでしょう。同居していた親御さんなら「遺品整理をするのみ」ですが、離れて暮らしていた親御さんで、一人暮らしをされていた場合は、空いた実家の片付けが必要になります。
このようなケースでの片付けについては「一人暮らしの死亡後の片付け」のページをご覧いただけたらと思います。
親の転居が決まった
これは「親が住み替えをする」「老人ホームなどの介護施設に入る」などのケースが考えられます。
住み替えについては「バリアフリーな家に引っ越す」「ずっと住みたかった田舎に住む」「子どもが全員独立したので、コンパクトな家に住み替える」などのパターンがあげられるでしょう。このような親御さんの老後の住み替えのポイントはこちらの記事をご覧ください。
「介護施設に入る」ことについては、このような福祉が絡む片付けや不用品の整理などは「福祉整理」とも呼ばれます。通常の片付けや引っ越しと違い、福祉の知識や経験が必要になる場面が多いため、最近は「福祉整理に強い業者」も徐々に登場しています。
福祉整理は、下のように雑誌で取り上げられてもいます。『シルバー新報』という、介護系の専門誌です。
親との同居が決まった
親御さんが高齢になって体が弱ったり、認知症の傾向が出るなどしたら、心配なため同居することもあるでしょう。そのようなときも、実家の荷物の処分が必要になります。
こうした実家の荷物の処分を業者に依頼すべきかについては、こちらの記事を参考にしていただけたらと思います。
その他(ごみ屋敷化など)
「その他」と回答した人の割合は、23.9%とかなり多くなっています。大体4分の1です。
「その他の理由で、何がそんなにあるのか?」と思うでしょう。業者としての経験からいうと、親御さんの家が「ごみ屋敷・汚部屋状態になってしまった」ということが、特に多い理由と考えられます。
最近問題になっているセルフネグレクトですが、この状態になって家をごみ屋敷にしてしまう親御さんは少なくないものです。
このようにごみ屋敷になってしまった場合の片付けは「自力でやる」「業者に依頼する」の2通りの選択肢があります。自力でゴミ屋敷を脱出する方法は、別記事のこちらの段落で解説しています。
また「自力で片付けるのは無理なので、業者に依頼したい」という場合は「ゴミ屋敷の清掃業者の選び方」のページをご覧ください。
実家の片付けや処分を検討している?
「現時点で実家の片付けや処分を考えているか」という質問には、「考えていない」という回答が7割以上と、圧倒的多数になりました。
回答内容 | 回答した人の割合 |
---|---|
片付けを検討している | 23.6% |
売却を検討している | 5.2% |
賃貸に出すことを検討している | 0.4% |
特に検討はしていない | 70.8% |
それぞれの状況によって片付けの必要性は異なるため、必ずしも「早めに検討すれば正しい」というわけではありません。しかし、最近は下記のような取り組みをする方やご家庭が多くなっています。
それぞれ詳しく説明していきましょう。
親御さんご本人による断捨離
「自分の死後に子どもに迷惑をかけたくない」という理由で、生前に断捨離をされる親御さんが増えています。特に、老いる前に整理をする老前整理をする親御さんが増えており、50代での終活での断捨離はごく普通になっています。
さらに、50代よりもっと若い40代から、時間をかけて老前整理をされる方も見えます。たとえば相続税の節税を完璧にしようとすると、このくらい若い頃から30年・40年がかりで生前贈与を繰り返すのが効果的だからです。
このようにさまざまな理由から、かなり早い段階で老前整理や生前整理をされる親御さんが増えています。次の段落で「お子さんからの働きかけ」について説明しますが、親御さんを説得するときに、このような時代の流れを説明していただくのもいいでしょう。
お子さんからの生前整理の働きかけ
誰でも歳を重ねると「自分の生活を変えたくない」と思うことが増えます。それは高齢の親御さんで特に顕著に見られることです。
そのため、お子さんの方から親御さんに対して、積極的に生前整理の働きかけをするご家庭も増えています。このような働きかけをうまく行うポイントは、「実家(親の家)の生前整理」のページをご覧いただけたらと思います。
遺品整理の生前予約
生前整理が完了している場合も、まったくできていない場合も、何らかの遺品整理は必要になります。「亡くなった後でしか発生しないお仕事」があるためです。
そして、親御さんが亡くなった後は、お葬式やお通夜などで慌ただしく遺品整理までは手が回らないことが多いもの。そのため、遺品整理の生前予約をする流れも強くなっています。
かかった時間・日数は?
期間や日数については、下の表のように「3カ月未満」と答えた人が過半数となっています。「3カ月未満」だけを見ると、多くの人が短期間で片付けに成功したように見えます。しかし、「1年以上」と答えた人が2割近くいることも見逃せません。
かかった期間 | 回答した人の割合 |
---|---|
3カ月未満 | 51.1% |
3カ月~半年 | 20.6% |
半年~1年 | 9.1% |
1年以上 | 19.3% |
ここでは「3カ月未満の人は、なぜ早く片付けられたのか」「1年以上の人は、なぜ時間がかかったのか」の2点を解説していきましょう。
3カ月未満の人は、なぜ早く片付けられたのか
これは「生前整理ができていた」「業者に依頼した」などの理由が考えられます。ごみ屋敷など、どれだけひどい状態でも、業者に頼めば1日で終わることがほとんどです。たとえば「部屋を丸ごと処分する」などの作業も、業者なら簡単にできます。
1年以上の人は、なぜ時間がかかったのか
1年以上という長い時間がかかる原因については、下のようなものが考えられます。
以下、それぞれの理由について解説していきます。
精神的なショックが大きく、行動を起こせなかった
親御さんが亡くなることは、ほとんどの人にとってショックが大きいもの。実家の片付けも含めて何もやる気が起きず、それで時間がかかってしまうというケースは多くあります。
このような精神的な原因で「遺品整理がつらい・疲れる」と感じている人は多くいるものです(この対策などは、左のリンク先で解説しています)。
遺品を捨てることに罪悪感があった
親御さんの亡き後に実家を片付けるときは、ある程度の遺品を処分する必要があります。そのことに罪悪感があって遺品整理が進まないという人も多いものです。
この罪悪感を感じずに遺品を処分する方法については「遺品を捨てる罪悪感」のページで詳しく解説しています。このページにも書いていますが、遺品供養(お焚き上げ)をしっかりすることで、罪悪感が大幅に薄れるものです。
遺品整理について親族間で揉めていた
遺品の中には、金銭的な価値が高いものもあります。このため、遺品整理で親族同士がもめることは珍しくないのです。このようなときも、やはり遺品整理は遅れてしまいます。
相続放棄をするため、遺品整理をできなかった
親御さんが借金を残していたり、税金の滞納をしていたという場合には、相続放棄をする必要があります。放棄しなくてもいいのですが、放棄しなければ借金や税金の支払い義務を、引き継ぐことになります。
そのため大抵は放棄するのですが、相続放棄をするなら遺品整理をしてはいけないのです。これによっても、やはり遺品整理が遅れます。
かかった金額は?
実家の片付けにかかった費用については、金額別に下の表のような割合となっています。「費用をかけていない」が最多で30%、10万円未満が2位でほぼ30%、その次が10~30万円で約20%となっています。つまり、実家の片付けは、高くても30万円まででほぼ完了するということです。
かかった費用 | 回答した人の割合 |
---|---|
10万円未満 | 29.3% |
10万~30万円 | 20.7% |
30万~50万円 | 8.0% |
50万~100万円 | 5.9% |
100万円以上 | 6.1% |
特に費用はかけていない | 30.0% |
実際、下記は弊社の料金表の一部ですが、2DKでも9万9000円で、10万円未満となっています。そして、一番高い4LDKでも18万9000円からで、20万円未満となっています。他社さんがもう少し高くても、「4LDKでも30万円あれば大体OK」ということがわかるでしょう。
間取り | 基本料金 |
---|---|
2DK | 99,000円~ |
3LDK | 149,000円~ |
4LDK | 189,000円~ |
ただ、気になるのは「それ以上の金額がかかったケース」でしょう。この原因として考えられるものは、主に下の2点です。
以下、それぞれの原因について詳しく解説していきます。
孤独死により、特殊清掃や消臭工事が必要になった
故人が孤独死をされてから発見まで時間がかかってしまった場合、現場に体液や死臭などが残ってしまうことがあります。このようなケースでは特殊清掃や消臭工事が必要になります。
親御さんが孤独死されてしまった場合の遺品整理については「孤独死の遺品整理」のページ、消臭工事については「孤独死の匂い」のページで詳しく解説しています。
賃貸住宅で原状回復工事が必要になった
「実家」というと一軒家をイメージする人が多いでしょうが、アパート・マンションなどの賃貸住宅に親御さんが住まわれていることも多いでしょう(この場合は「家庭」という意味で実家という言葉を使うわけですね)。
このようなとき、特に孤独死をされてしまった場合は、原状回復工事が必要になることがあります。これは特殊清掃などの「清掃」より、さらに費用がかかる「リフォーム」となります。そのため、自然と費用も高額になります。この費用については「孤独死の原状回復」のページをご覧ください。
孤独死などの問題が特になければ、通常のアパート退去となり「掃除をするだけ」でOKです。この場合は「アパート退去時の掃除」のページをご覧いただけたらと思います。
実家を売却して後悔することは?よく見られる2つのパターン
片付けをしたあとで実家を売却するかどうか悩んでいる場合「他の人は、売却してどのようなことに後悔しているのか」という点に興味があるでしょう。ここでは、そのような後悔の体験談の中で、主な2つのパターンを紹介します。
子供時代が懐かしくなっても戻れない
「実家や祖父母の家で過ごした子どもの頃が懐かしくなっても、もう戻れない」という理由で後悔している人も多いようです。発言小町の「家を売却した方。懐かしくなりませんか?」という質問では、質問者さんから回答者さんまで、多くの方がそうした内容を書かれています。そのうちの1つを紹介させていただくと、下のような文章です。
良~くわかります! 涙が出るほどわかります。 私の祖父母の家がそうでした。同居していた訳ではありませんが思い出が沢山あります。夏冬の休みはずっと泊まっていたし、ここでこんな事をした、庭のここには毎年こんな花が咲いていたとか。もう近所に行く事はあまりありませんが、たまにふらっと家の中に入ってみたい衝動にかられます。でも仕方ないんですよね…。
家を売却した方。懐かしくなりませんか?(発言小町)
太字の部分を読んで、歌が好きな人なら「似たような感じの歌」をいくつか思い出すでしょう。たとえば有名なのは「赤いやねの家」です(この曲の詳細は後述)。
「赤いやねの家」には、下のようなフレーズがあります。
にわにうめた柿のたね 大きくなったかな
クレヨンのらくがきは まだかべにあるかな
今は どんなひとが すんでるあの家
赤いやねの家(作詞された織田ゆりこさんご本人のホームページ)
最初の2行は、まさに紹介した回答の太字部分の「ここでこんなことをした」「庭のここに、こんな花が咲いていた」という内容と、まったく同じといえるでしょう。このような思い出は、時代を問わず多くの人にあるのだといえます。
しかし、では「実家を売却したら、思い出が消えて後悔するのか」と言ったら、答えはノーだと思います。
「今は どんなひとが すんでるあの家」
上の見出しのフレーズがまさに答えになるのですが、「今は別の人が住んでいるからこそいい」と考えることもできるでしょう。もしこの歌で、実家がまだ売却されていなくて「いや~、壁の落書きも昔のままだな~」と懐かしむストーリーだったらどうでしょう。おそらく、あまり感動する人はいないはずです。「もう戻れない」「誰か別の人の家になってしまった家」だからいいのです。
もちろん、取り壊されていても同様のドラマはあるでしょう。実際、歌の中でも赤い屋根の家は「ある日突然、ビルの裏側に隠れてしまった」ので、あと10~20年程度で取り壊されると予想できます。
だからといって、思い出が消えたり薄まったりすることはないでしょう。むしろ美しくなるはずです。実家に限らず「ものをなくしたら思い出が消えるわけではない」のです。
これは遺品整理でも言えることですが、その点は「遺品を捨てられない理由」のページでも解説しています。特に、「故人は『物を捨てたら怒る人だったのか』を考える」という段落を参考にしていただけるでしょう。思い出を維持するうえで、物理的な「モノ」は最低限でいいのです。
補足…「赤いやねの家」について
補足させていただくと「赤いやねの家」は非常に有名な曲です。NHKの「ふえはうたう」で人気に火がつき、その後「みんなのうた」や「おかあさんといっしょ」にも使用され、数十年経った今でも小学校の音楽の教科書に掲載されて続けています。
実際に曲を聴けば、小学校時代に歌った人なら「ああ」と思うかもしれません。↓
(上記動画は公式ではありませんが、作詞された織田ゆりこさんが公認されている動画です)
悪質な遺品整理・不動産業者にまかせてしまった
「赤いやねの家」から一転して現実的な話になりますが、売却は大抵業者に任せるものです。
- 実家の片付け…遺品整理業者
- 片付け後の売却…不動産業者
上記のように任せるのが一般的ですが、これらの業者が悪質な業者だった場合、当然ながら遺族の方は後悔することになります。実家を売却するという決断自体は正しくても、業者の選び方で後悔してしまうということです。
このような後悔をしないためには、遺品整理業者の選び方を事前に知っておくことが重要です。また、親御さんが亡くなられているわけではなく、生前整理・身辺整理の場合は、下の記事を参考にしていただけたらと思います。
まとめ
実家を片付けることも、それを売却することも、多くの人にとって「人生の一大イベント」となります。そのような大仕事に加えて、親御さんが亡くなる、住み替えをされるなどの人生の転機が重なるわけですから、その負担は非常に大きなものといえるでしょう。
弊社をはじめとした遺品整理業者の仕事は、そのようなご負担を軽減し、親御さんを亡くされたショックを少しでも軽くするお手伝いをさせていただくことだと考えております。もちろん、住み替えの場合も、生活の大きな変化に伴うご負担を軽減することが重要だと考えております。
このような気持ちを持ってスタッフ一同、誠心誠意サービスをさせていただきますので、どのようなことでもお気軽にご相談くださいませ。実家のお片付けや売却のお手伝いを通して、皆様のお役に立てますことを、スタッフ一同心より願っております。
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