断捨離とは?意味、捨てて後悔する物、服処分のコツ、ヨガ・仏教の由来、商標権登録
断捨離とは(意味・定義)
(50代の終活に関する部分は、下の記事に移動しました)
(最終更新日…2019年12月12日)
断捨離とは、不要な事物を断ち・捨て・離れることにより、人生を改善する考え方のこと。単に「大掃除」「無駄を省く」という意味合いで用いられることもある。
「物」を対象にすることが多いが、近年ではあらゆる対象に用いられる。例えば、人間関係・仕事・時間・情報・権利・サービスなどである。
もともとはヨガの行法である「断行・捨行・離行」に由来している。この内容自体は仏教でも同じ発想が古くからあり、特に断行・捨行は釈迦の時代から続く仏教の重要な思想・修行であった。そこに「離行」という言葉を合わせ、ヨガの分野から「断捨離」という造語が生み出された。
考案者は、日本のヨガの草分け的指導者として活躍した沖正弘である。沖は1976年に出版した自著でこの言葉を用いて以後、少なくとも4冊の書籍で「断捨離」という言葉を使用していた。また、ヨガの世界では「断捨離は沖正弘氏の思想」として認知されていた。
この言葉を主に「片付け」の分野に応用し、広く世間に普及させたのが、やましたひでこである。やましたは2009年に『新・片づけ術「断捨離」 』を出版。同書はベストセラーとなり、「断捨離」は2010年のユーキャン新語・流行語大賞にノミネートされた。
沖が提唱した断捨離は、ヨガの分野では広く知られていたが、一般には普及していなかった。また「片付けに応用する」という発想もメジャーではなかった。それを一般名詞に近くなるほど世に広めたのは、やましたの多大な功績である。
2019年11月12日時点で「断捨離」を含む商標は、7の個人・法人によって11件登録されている。2018年に行われた2度の審決において、特許庁は断捨離を「社会に定着し、一般的に通用する語」とし「一般名詞である」という見方を示している。
当記事は、断捨離の精神を生み出し、人間の世界で育てあげた、歴代のヨガ行者・仏教徒・沖正弘氏・やましたひでこ氏・現代のヨガ関係者・商標としての断捨離®の関係者の方々に、等しく敬意を表しつつ、「断捨離とは何か」を説明する。
「断ち・捨て・離れる」の意味
考案者の沖正弘氏は、自著で下のように説明している。
表にすると、下のようになる。
断 | 新たに入って来ないようにする |
---|---|
捨 | 今あるものを捨てる・消す |
離 | 悪いもの(事物・習慣・思考)から解放される |
要約すると、下のようになる。
断 | インプット(を停止) |
---|---|
捨 | アウトプット(を促進) |
離 | ゴール(得られる結果) |
最後の「離」について「何でここだけ結果なのか?」と思うかもしれない。実際、行いとしては「断・捨」だけで終わるため、仏教は長年この2つを説いてきた。
そこに沖氏が「離」を合わせて断捨離が生まれたわけだが、極端な話「離は削ってもいい」のである(断と捨が本当にできれば、自ずと離の状態になるため)。
実際、沖氏の教えを継承されている龍村修氏が「捨行は離行でもあります」と説明されている(つまり、捨行までできた時点で、離行も自然にできる)。
なお、先述の沖氏の文章は下の書籍に書かれている。
断捨離の方法・やり方(コツ)
断捨離のやり方は、捨てるアイテムごとに考えると、よりわかりやすくなります。ここでは服などのアイテム別に、断捨離のやり方を解説します(服以外のアイテムのご説明も随時追加します)。
服を捨てる5つのルール例(ライフルホームズより)
東証1部上場のライフルホームズが運営する「LIFE LIST」で、ミニマリスト・弥生さん(イラスト)がわかりやすいルールを書かれています。
原文では「6つのポイント」となっていますが、「服の状況別」という観点で絞ると「5つのルール」になります。表でまとめると下のとおりです。
服の状況 | とるべき行動 |
---|---|
こんな服あったんだ | 即処分 |
最近着てない | 早めに捨てる |
ボロボロ | 買い替えながら捨てる |
今の流行ではない | 着ないなら捨てる |
趣味じゃない | 捨てる |
それぞれのルールについて「どういう意味か」を、筆者なりの解釈を交えてご紹介させていただきます。
こんな服あったんだ…即処分
これは特にわかりやすいと思います。忘れていたということは、
・必要もないし、
・愛着もない
ということなので、即処分でいいでしょう。これは1つの例ですが、何かこのような「シンプルな鉄の掟」を持っておくと、作業効率が大幅に上がるはずです(鉄の掟というと少し大げさかもしれませんが…)。
最近着てない…早めに捨てる
これは少し悩むかもしれません。「以前は着ていた」ということだからです。以前のような生活に戻る可能性もあるでしょう。
この場合「即保留」でもいいかと思います。他のルールを実行するだけでも「何割かは片づく」ので、まずはそれで良しとする、というのもありかと思います。
ボロボロ…買い替えながら捨てる
ボロボロということは「使い込んでいる」ということで、必要な服です。ただ、寿命も来ているでしょう。
そのため、その使い道に支障が出ないように「新しいもの」に買い替えながら捨てていくべきです。
今の流行ではない…着ないなら残す
流行でなくても「好きなら着るべき」です。たとえばB’zが2018年にリリースしたアルバムの『DINOSAUR』。これは「恐竜」という単語ですが、英語圏では「時代遅れのもの」という意味もあります。今の日本でいう「ガラパゴス」のようなイメージでしょう。
そのため、このタイトルが候補にのぼった時、ドラマーのシェーン・ガラース(写真)は「自虐的に聞こえる」と指摘したそうです。↓
しかし、稲葉さん・松本さんらメンバーは、逆にそれをプラスに捉え、このタイトルに決定したそうです。
好きなら残し「人の目が気になる」なら捨てる
B’zがこのタイトルを貫けたのは「人目を気にしていない」ためでしょう。もはや「そういう次元のバンドではない」というのは、B’z世代ならよく知っているかと思います(グラミー受賞・日本人初の米国ロック殿堂入りなど)。
もちろん、私たちのほとんどにB’zのお二人のような実績はないでしょう。それでも自分で自信を持って「これが好きだ!」と言える場合は、時代遅れでも堂々と、喜んで着るべきだと思います。
逆に、そのような気持ちになれないなら(ほとんどの人がそうだと思いますが)、その人にとって「人目は大事」なのです。
実際、ほとんどの動物は身の危険を感じたら躊躇なく安全策をとります。プライドなど何もなく、自分より強い相手からは「すぐ逃げる」か「降参してお腹を見せる」のです。
だから、別に人目を気にしても何も悪くないのです。むしろ、そのような人が多数派だからこそ、日本は世界一治安がいい国なのだといえます。
そのため、時代遅れの服を好きになれても、なれなくてもどちらでもいいでしょう。そのときの気持ちに素直になって、残す・捨てるのどちらでも「喜んで」やるのが良いかと思います。それが本当の「自信を持つ」ということかと思います。
40代の人が捨てるべき40の物(Country Living US/ELLE)
そして、それを日本の人気女性ファッション誌『ELLE』が、日本語訳しています。
その日本語版の記事では「日本人に内容が合うもの」がピックアップされています。ここでは、それをさらに「ジャンル別」に分類して、紹介させていただきます。ジャンルは下の通りです。
以下、それぞれのアイテムを「なぜ捨てるべきなのか」の理由を一覧にしていきます。
どうせ使わない系(7つ)
アイテム | 捨てるべき理由 |
---|---|
電気コード | 何のコードかわからないものは、高確率で今後も使わないから |
種類がバラバラのボタン | 何か作品を作るのでもなければ、使うことはないから |
ソフトカバーの本 | 多分今後も読まないから |
手芸用品 | 挫折したのも飽きたのも、別に恥じゃないから |
1年以上使ってない調理器具 | 調理器具で1年は、明らかに不要だから |
ペンキ | この先もきっと使わないし、思わず塗りたくなるカラーを買うべきだから |
パーティー用のコップ | パーティーを開くなら、また買えばいいから |
思い出系(7つ)
アイテム | 捨てるべき理由 |
---|---|
子どもが昔描いた絵 | いいものだけど、全てを取っておくのは無理だから |
お土産のショットグラス | 1つか2つで十分だから |
古いトロフィー | 子供はもう大人になったから |
子や孫のためにとってあるコレクション | 喜んでもらえるとは限らないから |
古いグリーティングカード | いつかは捨てるときが来るし、Instagramにアップすればいいから |
額のないポスター | 本当に大事なポスターなら額に入れるべきだから |
棚に並べたCD | アレクサが自動で音楽を流してくれる時代だから |
衛生・機能の問題系(4つ)
アイテム | 捨てるべき理由 |
---|---|
古いガーデニンググローブ | 怪我のリスクがあるから |
黄色くなったタオル | 見た目にも、衛生的にも悪いから |
壊れた傘 | むしろ置いている人が多いのが不思議だから |
枯れた花・鉢植え | ちゃんと成仏させてあげるべきだから |
仕事系(3つ)
アイテム | 捨てるべき理由 |
---|---|
名刺 | 思い出せない人なら必要ないし、デジタル化すればいいから |
数年前の納税申告書 | 自営業でなければ要らないから |
古い携帯 | リサイクルに出せば、激安で使いたいという人もいるから(※) |
安物系(2つ)
アイテム | 捨てるべき理由 |
---|---|
ホテルのスリッパ | もっと良いものを履くべきだから |
プラスチックの椅子 | 安っぽいから |
【参考】ホテルの備品を3人に1人が「持ち帰りすぎている」問題(文春オンライン)
マインド系(2つ)
アイテム | 捨てるべき理由 |
---|---|
ベッドスカート | しまったものの存在を忘れる&隠すための言い訳にすぎないから |
古くて怖い人形 | 怖いと感じるなら確実に、良いものではないから |
なお、人形の処分についての解説は、弊社がもっとも得意とする分野の一つです。処分の方法や供養してもらえる全国の神社などの情報を、下の記事でまとめています。
特に「怖い人形」といったら市松人形・西洋人形などになるでしょうが、それらは以下の段落で、それぞれ詳しくご説明しています。
食器…3つの捨て方ルールと残すべき5種類(TABLE WEAR EAST)
食器に関しては、その道のプロである「テーブルウェアイースト」さんが、断捨離の方法をブログで解説されています。まず、捨て方の3つのルールは下のものです。
そして、残すべき5種類のお皿は以下のものです。
- 平皿
- 角皿
- 汁椀
- 深皿
- その他(仕切り皿、グラス)
これらが「少数精鋭」で「本当にお気に入り」のアイテムだけあれば良い、ということです。以下、捨て方のルールを、筆者の補足も加えながら、ご紹介させていただきます。
割れ・欠け・剥げがあるもの
ひび割れや欠け、絵柄の剥げがあるものは捨てましょう。また、これらがなくても「明らかに使用感がある」という「使っていてテンションが下がる」食器は捨てるのがいいでしょう。
わかりやすい基準としては、それをお客さんに出せるかで考えるといいかと思います。お客さんに出せない食器なら「自分という人の気分を暗くしてしまう食器」ということです。
※ちなみに、大事な茶碗なら専門店で「金継ぎ」などの方法で直してもらうこともできます。↓
他の食器で代用可能なもの、似たもの
食器の中には「他のもので代用できる」という種類が多くあります。
カレー皿 | 深めのスープボウル |
---|---|
パスタ皿 | シンプルな平プレート |
もちろん、上記は「逆パターン」でもかまいません。似たようなものは「どちらかを捨てる」と考えるといいでしょう。
使用頻度の少ないもの
デザインなどを気に入って買ったものの「ほとんど使っていない」という食器も多いでしょう。このような食器も、買った費用は「勉強代」と割り切って、処分するべきです。
特にブランド物の食器であれば、リサイクルショップである程度の金額で買い取ってもらえます。大手では、以下のような会社さんがあります。
「食器だけを専門的に買い取る」というお店は少ないので「専門」にこだわる必要はあまりありません。しかし「専門店の方が信頼できる」という方向けにご紹介すると、下記のような会社さんがあります。
断捨離して後悔したもの4選と、その理由
断捨離で捨てて「後悔した」という声が特に多いのは、以下の3つです。
なぜ後悔したのか、その理由を見れば「後悔しない断捨離」を実践しやすいでしょう。ここでは、それぞれのアイテムの断捨離で「後悔した・する」という理由を説明します。
手帳…昔の友達の連絡先や思い出が消えてしまった
「手帳を捨てて後悔した」、あるいは「捨てると後悔するから捨てない」という理由は、このようなものがあります。↓
- 古い友だちの連絡先は、手帳にしかなかった(参考)
- 日記的に使っていたので、日記と同じく「昔の思い出」を捨ててしまった気がする(参考)
- 今は年金生活だが、仕事をしていた頃の出張・飲み会の参加者など思い出のかたまりなので捨てない(参考)
一言でいうと「思い出」といえます。昔の友だちの連絡先も、ある意味「思い出」でしょう。
もちろん「昔一緒に仕事をした人の連絡先」は別です。ただ、それで困ったという声はあまり見られませんでした(仕事で本当に必要な人なら、もう遥か昔からメールでもやり取りしているためでしょう)。
逆に、手帳を捨てて後悔しなかった人
人気ブログ「あさ5時に、ちょっとだけ」を運営されているmarimoさん。marimoさんはフルタイムでお仕事をされているワーキングマザーの女性です。
お仕事のためにずっと手帳を使われていましたが、40歳でやめたとのこと。理由のキーワードは「共有」といえます。
家庭 | 携帯アプリで、旦那さんと予定を共有する方が効率的 |
---|---|
仕事 | すでに部署のシステムで、全員が予定を共有している |
確かに紙の手帳では「共有」をできません。これは「手帳を捨てるかどうか」を考えるとき、重要な発想のひとつといえるでしょう。
なお、marimoさんはアイリスオーヤマの公式サイト(アイリスプラザ)にも登場されるなど、実績のあるブロガーさんです。
扇風機…冬に捨てて夏・梅雨に後悔した
扇風機を捨てて後悔したという理由は、このようなものが多くあります。↓
- 冬に捨てて夏に後悔する
- 会社が暑かったとき「USBの卓上扇風機を捨てなければ」と少し思い出した
- 梅雨時に空気の循環をさせたくなった
やはり「夏、もしくは梅雨」に皆さん後悔されるようです。なお、「USB~」のブロガーさん(くるみさん)は「少し思い出した」というだけで、後悔されたわけではありません。
消耗品…すぐ消費するので捨てるまでもなかった
消耗品を捨てて後悔する(した)理由は、このようなものがあります。↓
- すぐ消費するので、捨てるまでもなかった
- 賞味期限が切れていなければ、そのうち食べる
- ペンは使い切るまで捨てにくい
消耗品については「後悔した人は少ない」という印象です。というのは、
- 消耗品なので後悔する「回数」は多い
- しかし、安いので「ダメージ」は小さい
という理由です。後悔することがあっても「すぐ修正できる」ので、深い後悔にはならないということでしょう(逆に思い出系は「お金では買えない」ので、ダメージが残ることもあります)。
消耗品は「捨てるべき」という声が多い
たとえば、断捨離の分野で有名なミニマリストしぶさんは、「消耗品のストックやあまりものなど難易度が低いものから捨てましょう」と発言されています。
また、作家・ブロガーとして著名な立花岳志さんは、消耗品の使用を「1捨」にカウントすることを提案されています。
これだと「断捨離するぞ!」と身構える必要がないので、誰でも気軽に始めやすいでしょう。
本…心の支えになる本、プレミア本は捨ててはいけない
本については、捨てて後悔「した」という体験談より、捨てると後悔「する」という警告が多くありました。本は他のものより「精神的に捨てにくい」ためだと思われます。
「後悔する」という理由では、このようなものが指摘されていました。
- 買った当時の熱意ややる気を失いかねない
- 絶版で希少価値のある本は残すべき
- 人生を変えてくれた(くれる)本は残す
- 本を捨てようとしたとき、なぜか断捨離が止まってしまった
まとめると、以下のような本は「捨ててはいけない」といえます。
分類 | 内容 |
---|---|
精神面 | 自分の心を奮い立たせてくれる(くれた)本 |
読書面 | 絶版の本(読みたくなっても手に入らない) |
経済面 | プレミア価値のある本(高く売れる) |
体験談の最後の方(発言小町でのnicoさん)の回答は興味深いものです。服・食器などは次々断捨離できたのに「本を捨てようとした瞬間、なぜか止まってしまった」とのこと。
「物理的には必要なくても、精神的に必要なもの」があり、nicoさんにとってはそれが「本」なのでしょう(ご本人が書かれているとおり)。思えば、歴代の宗教家たちも「本」を大切にしていました。
キリスト教徒 | 聖書 |
---|---|
仏教徒 | 経典 |
イスラム教徒 | コーラン |
儒教家 | 論語 |
道教家(タオイスト) | なし |
最後の道教だけ例外です。道教は「無為自然」を説く宗教だからです。断捨離との共通点も多くあります。
どうも、本を捨てるかどうかの境目は「自分は、人間なのか動物なのか」という点にも鍵があるように思えます。
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