老後の住み替え~資金調達の方法と戸建て・マンション・建替えの比較~
老後になれば、あるいは老後が近づけば、誰でもさまざまなことを考える必要があります。
- 親が生きている場合、介護をどうするか
- 自分が要介護になったらどうするか
- 自分が亡くなるときの財産の整理をどうするか
このように、多くのことを考える必要が出てくるでしょう。その中で「家を売却して住み替える」などの選択肢が出てくることも多いかと思います。
この記事では、そのように老後の住み替えを考える場合に、意識するべきポイントを解説していきます。老後の住み替えを考えている方には、きっと参考にしていただけるでしょう。
老後の住み替えを考えるときの5つのポイント
どのような決断をするときでも「考えるべきポイント」はいくつかに絞られます。老後の住み替えの場合、そのポイントは主に5つです。
ここでは、それらのポイントを解説していきます。
時期をいつにするか
「いつ住み替えるか」は、言うまでもなく特に重要です。「その日までに資金を用意しなければいけない」ためです。
老後の住み替えのタイミングは、主に下記のようになります。
- 子供が独立した時
- 定年退職した時
- 今の家に不満を感じた時
以下、それぞれ詳しく解説していきます。
子供が独立した時
子どもが独立するまでは、やはり親としても大きな動きを起こしにくいもの。しかし、独立して子どもたちが全員一人で生活できるようになれば、親としても自由に動けるでしょう。
独立の定義ですが、一般的にはやはり「仕送りなしで完全に自力で生活できるようになった状態」といえます。価値観は人それぞれ、家庭ごとにそれぞれです。しかし、やはり「仕送りがないと生きていけない」なら、一人暮らしをしていても、就職していても「独立した」とは言いがたいでしょう。
パラサイトシングルの場合
パラサイトシングルの定義は人によりますが、辞書では下記のようになっています。
社会人となっても親元で生活する独身者。パラサイトは「寄生」という意味。親元であれば、独立して一人暮らしをするよりも経済的に楽であるため、独身貴族を謳歌できる。
この定義では「実家にお金を入れている」場合も、パラサイトシングルになるわけです。実家にお金を入れていないなら、明らかに独立しているとは言えないでしょう。
逆に「お金を入れているパラサイトシングル」の場合、独立しているといえるかどうかは、その金額によります。たとえば「毎月15万円入れている」というのであれば、一人暮らしを始めてもギリギリ生活できるでしょう。20万円だったら、ある程度の余裕もできます。
しかし、15万円未満の金額であれば、やはり実家にお金を入れていたとしても「独立している」とは言い難いものです。このようなケースでは、老後の住替えについて「子供のこと」も考える必要があります。
「親子の義務はいつまで続くのか」という根本的な問題になる
上記のようなケースでは、単純に「タイミングを考える」というより「親子の責任は、お互いいつまで続くのか」ということになります。
確かに、子供を育てたのは親です。「自立できない子供」にした責任は、親にあるかもしれません。
しかし、法律は犯罪者に対して「親が悪かった」などとはいいません。必ず「本人の責任」として、懲役なり禁錮なりを課します。つまり、法律は「親としての義務は、子供の成人以後に終わる」と決めているわけです。
もちろん「本当にそうか」というのは、哲学者などを交えて議論するべきことであり、「むしろ成人年齢を引き下げよう」という風潮が、最近は強くなっています。このため「いつから親としての義務が終わるか」は一概には言えないものです。
最終的には、どこかで「自分たちで決める」しかありません。住み替えのタイミングを決めるときに「子供だけがネック」になっているなら、「親離れしてもらう」という根本的なアクションが必要といえるでしょう。
定年退職した時
定年退職は非常に大きな節目の一つです。理由は、仕事がなくなれば、どこに住むのも自由ということにあります。
もちろん、人によっては「定年前から自由」ということもあるでしょう。今流行りの「ノマドワーカー」の方々であれば、現役時代から「常に自由」かもしれません。
しかし、こうした方々に定年はありません。また、2019年現在で定年を迎える世代では、そのような方は少ないでしょう。
このため、多くの人は「定年退職して初めて、住む場所を自由に選べる」ようになります。これは住み替えを考える上で、非常に大きなタイミングなのです。
「老後破産」に注意
上の段落のように書いたものの「老後破産」には注意する必要があります。この10年ほど、下流老人・老後破産という言葉をメディアで目にする機会が増えました。その理由は下記の通りです。
- 日本人全体が昔より貧しくなった
- 特に年金の支給額が減った
- 年金の支給年齢も上がった
簡単にまとめると「日本全体がダウンした、年金が危なくなった」ということです。この状況で「定年退職したから後は悠々自適」と決めつけていると、大変なことになります。
定年退職を機に住み替える場合に考えること
このような理由から、定年退職のタイミングで老後の住替えを検討するなら、下のことを考える必要があります。
- 自分はいつまで生きるのか
- 今後の病気のリスクはどれほどあるか
- 子どもが経済的に挫折するリスクはどれだけあるか
- 親の介護(老老介護)はどうなるか
これらのことを考えた上で「定年退職後にいくら必要か」を、綿密に計算することが必要です。考えると頭が痛くなるかもしれませんが、考えないと後でもっと痛い目に遭います。
戦後の日本は、現代史の中でおそらく有数といっていいほど、急激な高度成長をしました。その時期に定年を迎えた方々の人生を真似するのは、現代では非常に危ういことだといえます。
すでに十分な資産があるならいいのですが、ない場合は「何で老後も働かなければいけないんだ」ということを思わず、「そういう時代なのだ」と受け入れることが重要だといえます。
今の家に不満を感じた時
これは若年層でも同じですが「今の家に不満がある」「住み替える資金がある」というときには、住み替えを考えるのもいいでしょう。ただし、この時は下の点に注意する必要があります。
- 今の収入は今後も続くのか
- 収入が急激に減った場合、新しい家を維持できるのか
- 今の不満は、本当に我慢できないものか
収入については、個人事業主や会社経営者の方であれば、不安定であることは言うまでもありません。そして、一見安定しているように見える大企業のサラリーマンの方でも、今の時代はまったく安心できないものです。
東芝・シャープ・日産など、これらの「世界的大企業の凋落」は、記憶に新しいでしょう。もちろん、凋落といっても社員の方々、個人個人が悪かったわけではなく、上層部にほとんどの責任があったといえます。
それでも、しわ寄せを受けるのは社員の方々です。年収800万円以上あった東芝の社員の方々が、希望退職を迫られて途方にくれるという記事が、経済誌などで大きく話題になりました。
「東芝ですらそうなる」と考えると、今のあなたの仕事も「ずっと安泰」とは言い難いでしょう。経済評論家の勝間和代さんは、常に「無収入生存年数」というデータを考えているといいます。これは文字通り「今の生活レベルで無収入になったとき、何年生きられるか」という年数です。
現時点で年収1000万円などの高額な所得を得ていても、年間に500万円使ってしまっているなら、無収入で生存できる年数は短くなるでしょう。「あの勝間さんですら、これだけシビアに現実を見ている」ということを考えることが必要です。
「経済的にプラスになる住み替え」は積極的にすべき
上のように書くと「住み替えはしない方がいい」かのようですが、そうではありません。今の住宅への不満が「家賃が高い」など金銭的な理由である場合、むしろ住み替える方がいいともいえます。
「都落ち」のようですが、後から必要に迫られて実行するより、遥かに良いものです。「お金がなくなって安い家に住み替える」というのは、昔から飽くことなく、多くの人が繰り返しているパターンです。
たとえば一世を風靡したアイドルグループのメンバーだった方が、今はオートロックもない築40年ほどのマンションに住んでいる、と報道されて話題になったこともあります。他にも、史上最強のボクサーと呼ばれたマイク・タイソンの大豪邸も、彼の転落とともに売りに出され、買い手がつかずに廃墟化しています。
このように「お金がなくなって安い家に住み替える」というのは、非常によくあるパターンなのです。それなら、勝間さんが言われるように「貧しくても維持できる生活に、先回りしてシフトする」方が賢いといえます。
そのため、生活コストが安くなるなどの「経済的なプラスになる住み替え」なら、積極的にすべきといえるでしょう(もちろん、逆に「稼ぎが増える」「税金が安くなる」などの引越しも、積極的にするべきです)。
エリアはどこにするか
住む場所は、その人の人生をある程度示しています。そのため、老後に住み替えるエリアを選ぶことは、そのまま「どんな老後の生活をするか」を選ぶことと同じだといえます。
- アクティブに動ける都会に住む
- 自然と触れ合える田舎に住む
- 極端に偏らない「普通の街」に住む
このように「都会・田舎・普通」の3通りに分けられます。それぞれ、どのような方に適したエリアかを説明していきます。
都会…稼ぎたい、娯楽が欲しい、健康が不安
都会は主に、下のような人の住み替えに適しています。
- 老後もさらに稼ぎたい(活発に投資をするなど)
- 刺激の強い娯楽が欲しい(海外旅行なども含む)
- 健康状態に不安がある
ポジティブな理由とネガティブな理由が混ざっていますが、一言でまとめると「外部に何かを求める必要がある人は、都会に住むべき」となります。
とりわけ「健康状態に不安がある」という場合は、田舎より断然都会に住むべきだといえるでしょう。実際、日本の地方の過疎化が進んでいるのは、これが原因の1つです。高齢化が進み「高齢者が次々に都市部に移住」しているのです(高齢者を介護する現役世代の移住も含みます)。
他の理由の「稼ぎたい」「娯楽が欲しい」などは、抑えることもできるでしょう。しかし、健康問題については無視すると命に関わります。こうした方は老後の住替えでは都会を選ぶべきといえるでしょう。
田舎…自然が好き、もう働かない、娯楽が不要、健康
田舎の度合いにもよりますが、基本的に田舎は仕事がありません。そのため「もう働かなくていい」という人だけが住める場所です。
また、娯楽も少なく「値段に見合ったサービスにならない」のが欠点です。都会と違い「安くて質のいいサービスで、薄利多売をする」という選択肢がないためです。
しかし「自然が豊か」というのは、大きなメリットです。このあたりは当然、人の価値観にもよるでしょう。しかし、人間がもともと猿である以上、自然が豊かであることは多くの人にとってプラスになるはずです。
一方、都会とは逆で「健康に不安がある人は住みにくい」といえます。治療はもちろん、虫歯の予防などについても、そうした「意識の高いクリニック」は、都会に多いものです(予防はあまりお金にならないため、田舎での営業は難しいのが理由です)。
「予防の通院すらほとんどしなくていい」「毎日のスポーツや歌の調子で、自分の健康状態がよくわかる」というような方であれば、田舎に住む不安は極めて小さいといえるでしょう。
中間…とりあえず一番安全
「中間の地域」は、日本のほとんどのエリアが該当します。現時点でこのような場所に住んでいる方は多いでしょうし、老後の住み替えでもこうした選択をする方が多いでしょう。
これは当然で、都会も田舎も、何らかの理由があって人が集中したり、離れたりしているのです。どちらも「特別な場所」ですが、特別な場所に住む人には「何か特別な理由」があるわけです。
- 活発な投資で稼ぎたい
- 人間のいない場所で隠遁生活を送りたい
- 腎臓が悪いため、毎週透析治療を受けなくてはいけない
このような「特別な事情や希望」がある人たちが、極端な都会・極端な田舎に住むわけです。そうでない方々は、皆「中間」に住むことになります。
「迷ったら中間をとる」「極端な道を選ばない」というのは、処世術としては賢いものです。仏教では中道、儒教では中庸という言葉で表現されます。
住むエリアを選ぶときも、過剰に理想にこだわることなく「ストレスやリスクがなく実現できる、比較的理想に近い状態」を考えるのがいいかと思います(理想を言い出したら、モナコに住みたい、スイスに住みたいなどと、いくらでも欲が出てくるわけですから)。
一戸建てにするか、マンションにするか
時期もエリアも問題なく決まったら、次は「一戸建てにするか、マンションにするか」が重要な分かれ目となります。もちろん、これはエリアともある程度関わるでしょう。
- 郊外…一戸建てに住みやすい
- 都会…マンションに住みやすい
このような違いがあるため、人によっては先に「一戸建てに住みたい」「マンションがいい」という希望を出してから、エリアを選ぶこともあるかと思います。
順番はどちらでもいいのですが、一戸建て(一軒家)とマンションの生活、それぞれのメリットとデメリットを理解しておくことが必要です。ここではそれぞれの解説をしていきます。
一戸建て(一軒家)のメリット・デメリット
まず一戸建てのメリットを書き出すと、下記のようになります。
- 騒音トラブルが比較的少ない
- 他の入居者による水漏れなどのトラブルがない
- 庭があれば、庭いじりができる
- 持ち家であれば、増改築が自由
騒音については、一戸建てでも当然「隣家との間」であります。しかし、マンションと違って上下階の騒音問題はありません。
また、お隣とも「内壁でなく外壁を隔てている」「さらに空間もある」ということで、騒音トラブルはかなり少なくなるわけです。
逆にデメリットも一覧にすると、下記の通りです。
- 侵入しやすいため、セキュリティのリスクがある
- 建物の維持管理を、自分でしなければならない
- 庭があると、手入れの負担がかかる
- 高齢になると、2階との昇降が大変(エレベーターがない)
一言でいうと、一戸建ては自由度が高い分、責任や能力を問われるといえるでしょう。上に書いたような問題を解決できる能力(主に体力や財力)がある方なら、問題ないといえます。
マンションの長所・短所
マンションのメリット・デメリットは、一戸建ての逆となります。まずメリットを一覧にすると、下記の通りです。
- 防犯をしやすい
- 自室でも共有部でも段差が少ない
- 清掃や修繕を管理会社に任せられる
- 室内の温度差が小さい
最後のメリットは「若い頃は感じなかった」という方が多いでしょう。しかし、高齢になると「冬の室内の温度差でショック死してしまう」という方もいるほど「温度差がない」ことは重要になります。
「寄り添って温め合う」というのは動物の群れも冬に実践していることですが、集合住宅もやはり「寄り添っているから温かい」のです。
逆にデメリットも書き出すと、下記のようになります。
- 管理費・修繕積立金・駐車場代などの費用が毎月かかる
- 騒音トラブルが起きやすい
- 水回りなど、隣人の失敗による被害が起きることが」ある
- 持ち家でもペットを飼えないことがある
基本的には「不自由」あるいは「人に足を引っ張られる」といえます。これは人生全般で言えることですが「強い人は、弱い人と一緒にいると足を引っ張られる」ものです。これを嫌がる人は、頭のいい人なら名門校に進学し、野球選手なら大リーグに行くわけです。
もちろん、マンションでもこれはできます。「高いマンション」なら、住民の民度も高いため「隣人に迷惑をかけられる」ということは、かなり少なくなります。ゴミ捨てのマナーなども良いでしょう。
しかし、そうした世界の「仲間入り」をするのもまた大変です。「余裕でできる」という能力があれば良いですが、無理して背伸びをするのであれば、辞める方がいいこともあるでしょう。「無理してタワーマンションに住んだ人々の悲哀」は、経済誌や週刊誌でもよく特集されている通りです。
最終的には「一戸建てがいいか、マンションがいいか」というのは、好みの問題というより「人生観の問題」ともいえます。
購入するか、賃貸にするか
賃貸というと、マンションやアパートを思い浮かべる人が多いでしょう。しかし、一軒家の賃貸も多くあります。持ち家だと思っていたお隣さんが「話してみたら、実は借家だった」というのもよくあることです。
このため、マンションでも一軒家でも「購入か、賃貸か」が重要な分かれ目になります。ここでも、それぞれのメリット・デメリットを解説していきましょう。
購入のメリット・デメリット
購入する(持ち家を得る)ことのメリットは、下記の通りです。
- ランニングコストが最少になる
- 建て増しやリフォームを自由にできる
- 資産になる(いざとなれば売れる)
ランニングコストについては、持ち家でも当然無料にはなりません。特にマンションでは、毎月の管理費や修繕積立金を払っていく必要があります。
しかし、それでも賃貸に比べれば「大幅に安くなる」ものです。老後に「これから払い続ける金額を小さくして、リスクを最小にしたい」という人には、持ち家が向いているでしょう。
逆にデメリットを書き出すと、下記のようになります。
- 初期費用がかかる
- 新しい場所に引っ越しにくい
- 不動産を管理する責任が生じる
特に意外なのは最後の1つでしょう。実は、不動産は「持った後が厄介」ということが、しばしばあるのです。
あなたが健在なうちはいいでしょう。しかし、亡くなってしまい、建物も老朽化しているとなると、その不動産を残されるお子さんなどが困るわけです。
- 売りたくても売れない
- 解体にも費用がかかる
- 売らないと固定資産税がかかる
- 土地があれば、不法投棄などの被害にも遭う
このように、資産価値のない不動産は「負動産」と呼ばれ、相続でしばしば問題になることなのです。一軒家でもマンションでも、持ち家を手に入れるときには「将来の処分」まで考えるようにしましょう。
賃貸の利点・欠点
賃貸では、まず下のようなメリットがあげられます。
- 初期費用が小さくていい
- 震災などのリスクが小さい
- 引っ越しが簡単
- 将来の不動産の責任を負わなくていい
特に賃貸ならではのメリットは「災害のリスクが小さい」ということでしょう。部屋の中の家具などは失っても、部屋を失うことは怖くないためです(大家さんが財産を失うだけです)。
このため、津波や液状化などのリスクが高い地域に住みたい場合は「あえて賃貸にする」という選択肢もありだといえます。
逆に賃貸のデメリットは何かというと、主に下記の通りです。
- リノベーションが自由にできない
- ランニングコストが高い
- 支払ったお金が資産にならない
特に大きいのは最後の点です。同じように「合計2000万円」を払うにしても、持ち家なら「住宅という資産」が手元に残ります。しかし、賃貸では「2000万円払い続けて終わり」です。
このため、特に長く生きる予定がある人、その土地に長く住む気がある人は、持ち家を選ぶ方がいいといえます。逆に自由に引っ越しを繰り返す生活を楽しみたい場合は、賃貸の方がいいでしょう。
買うなら新築か、中古か
一軒家にしてもマンションにしても「購入する」と決めた場合、次に決めるのは新築か中古かです。これもそれぞれのメリット・デメリットを説明していきます。
新築住宅の長所・短所
まず新築住宅には下のようなメリットがあります。
- 注文住宅なら自由に設計できる
- 新しいので気分がいい
シンプルな理由ですが、基本的にはこの2つに尽きるでしょう。逆にデメリットは下記のようになります。
- コストがかかる
- 注文住宅なら、建築に時間がかかる
一言でまとめると「時間とお金がかかる」ということです。時間については半年程度で完成することが多いため、一番重要なのはやはり「お金」でしょう。
中古住宅のメリット・デメリット
中古住宅のメリットは、下記のようになります。
- 安く手に入る
- 築浅の物件なら、中古住宅でも十分にきれい
- すぐに住めることが多い
「建てたばかりの家」でも、たとえば夫婦の離婚などによって「すぐに売り出される」ということもあります。喜んでいいかはわかりませんが、そのような「築浅で安い中古住宅」も売られているものです。
もしそうした物件を手に入れることができれば、中古住宅を選ぶメリットは非常に大きくなるでしょう。逆にデメリットも書き出すと、下記のようになります。
- 「人の中古」というのが、気に入らない人もいる
- 何らかの瑕疵が隠れている可能性もある
- 注文住宅という選択肢がないので、間取りが100%自由にはならない
カンタンに書くと「古い・リスクがある・不自由」ということです。ただ、2つ目の瑕疵については瑕疵担保免責になっていない物件なら、不動産業者などが責任をとってくれることが多いといえます。
そのため、基本的には「古い・不自由」という「気にしなければ問題ないデメリット」といえるでしょう。
老後の住み替え資金を調達する3つの方法
当然ながら、老後の住み替えには資金が必要です。その資金を調達する方法次第で、その後のライフプランも大きく変わると言えます。
預貯金(現金)を使う
一番いい方法は、銀行預金ですべて支払うことです。老後に住宅ローンを組むことは基本的に不可能であり、この方法がもっともメジャーといえます。
そうは言っても、数千万円などの現金を蓄えている人も少ないでしょう。その場合は、これから説明する他の選択肢になります。
今の家を売却する
これが2つ目に多いパターンでしょう。今、持ち家の一戸建てやマンションを持っているなら、それを売却すればある程度の資金を用意できます。
特に売れば住宅ローンを上回る利益が出る「オーバーローン」の状態や、もともと住宅ローン自体を完済している状態なら、この方法で資金を用意できることも多いでしょう。
逆に「家を売っても住宅ローンが残るアンダーローンの状態」だと、この方法を使っても住み替えの資金を調達するのは難しいといえます。その場合は、次の方法にになります。
賃貸にする(多額の一時金を不要にする)
賃貸も立派な住み替えです。災害などのリスクを軽減させることを考えると、むしろ賃貸の方がいいこともあります。
賃貸でも礼金・敷金・保証料などの初期費用は必要です。しかし、持ち家ほど多額の初期費用はかかりません。
このため「老後は住み替えをしたい。でもお金がない」というときには、賃貸という選択肢を積極的に考えていただくのがいいでしょう。
老後の住み替えでマンションを選ぶメリット・デメリット
老後の住み替えで「マンションを検討している」という方も少なくないでしょう。ここでは、マンションに住み替えるメリットとデメリットを説明していきます。
メリット…防犯しやすい、温度差・段差が少ない
マンションは基本的に「二重の防犯」ができます。オートロックのない古いマンションなら別ですが、オートロックさえあれば、そこでほとんどの侵入者を遮断できるのです。
また、冬はそれぞれの家で暖房をつけて建物全体をあたためているため、建物全体での温度差が少なくなります。たとえばゴミ捨てでも、外に出る必要がある一戸建てと比べて「常に温かい状態」で、捨てに行くことが可能です。
また、エレベーターがあるので「階段を使わなくていい」というメリットもあります。一戸建てだと平屋でない限りは階段の昇降が必要になりますが、それが不要ということです。また、マンションは建物全体がバリアフリーになっていることがほとんどで、その点もメリットといえます。
デメリット…庭がない、入居者とのトラブルがある
マンションは、1階の部屋などの例外を除き、庭がありません。「老後は庭いじりやガーデニングを楽しみたい」という方には、少々物足りないこともあるでしょう。
また、人が集まっている分、他の入居者とのトラブルも多くなります。一戸建てでもお隣とのトラブルはありますが、マンションほど多くはありません。
水回りなどのトラブルが大きい
たとえば、一戸建てで隣の家が「お風呂の水を出しっぱなし」にしていても、問題は何もないでしょう。お隣が困るだけです。
しかし、マンションだとこれが「こちらの被害」になるのです。漏れ出たお風呂の水が部屋中を満たし、床が抜けるというトラブルも起きます。
筆者はこのトラブルを「加害者側」で経験したのですが、本当に床が抜けます。コンクリートから染み通った水が下の階の天井を濡らし、天井の石膏と木の板が耐えきれなくなって破れるのです。
被害者・加害者のどちらが辛いかは状況によりますが、金銭的なリスクが大きいのは、当然「自分が加害者になるとき」です。マンションの入居者同士のトラブルは、騒音などもあるのですが、こうした水回りなどのトラブルもあると意識しておいてください。
老後は住み替えと建て替え、どっちがいい?
老後の住居を考えるとき、住み替えでなく「建て替え」を考える人もいるでしょう。ここでは、住替えと建替え、それぞれのメリットとデメリットを説明していきます。
住み替えのメリット・デメリット
まず、住み替えのメリットは下記の通りです。
- 新天地での生活を楽しめる
- 場所によっては、物価などの生活費を削減できる
- 建て替えしにくい物件なら、住み替えの方が安くつくことがある
逆にデメリットとなるのは下のような点です。
- コストがかかることが多い
- 新しい土地になじめない恐れもある
- 場所によっては生活費が今より高くなる
「場所によっては」や「ことが多い」という言葉が連続で出ているように、これらは全てケースバイケースです。特に「新しい土地になじめるか」などは、個人の資質によるところが大きいでしょう。具体的にはコミュニケーション力や、暑さや寒さに耐えられる体温調節力などに左右されます。
建て替えの利点・欠点
建て替えでは、まず下のようなメリットがあります。
- 住み慣れた場所を移らなくていい
- 住み替えよりコストが安いことがある
場所を変わらない分、物価などの生活費が変わることもありません。また、友達付き合いや家族関係なども大きな変化を起こさずに済むでしょう。
逆に欠点となるのは下のような点です。
- 場合によっては、住み替えより高くつくことがある
- 今の土地の人間関係などに縛られる
これもやはり「個々人によるもの」です。高くつくかどうかは「物件次第」であり、「どのレベルの工事をするか」にもよります。
また「今の人間関係に縛られる」というのも、「今の人間関係を気に入っている」という場合は、むしろメリットでしょう。このように、住み替えがいいか建て替えがいいかは、完全にその人次第といえます。
これは「マンションがいいか、戸建てがいいか」などでも言えることですが、やはり最後は「自分の老後の人生なので、自分と向き合って決める」という結論になるでしょう。
住み替えも含めた生前整理はプロに相談を!
老後の住み替えも含めて、生前整理を早くから進めていくことは重要です。60代などの年齢だと「まだ生前整理など早い」と思うかもしれません。
しかし、元気な方でも60代になれば、脳出血などで「ある日突然亡くなる」こともあります。もちろん、交通事故などもあり得るでしょう。
このため、最低限の生前整理はまだ元気なうちから進めておく必要があるのです。そして、生前整理を効率的に進めるためには、プロに相談するのが一番です。
まとめ
老後の住み替えは、最終的には「自身の人生の最終章と向き合う」ということになります。単純な「不動産の物件選択」という問題ではなく「残りの人生をどう生きるか」という、究極の課題と向き合うことが必要です。
そのためには、どうしても「物の整理」も必要になります。また、相続などの問題も絡むため、弁護士や司法書士、税理士などの専門家のアドバイスも参考にするべきでしょう。
弊社みらいプロセスでは、これらのお手伝いを「すべてワンストップ」で行うことが可能です。遺品整理が専門のため、物を整理することはもちろん、全国800以上の士業ネットワークによって、法律・税務の面からもベストのプランを提案させていただくことができます。
こうした生前整理のサポートも含め、ご質問やご相談、お見積りなどはすべて無料でお受けしております。電話は土日も休まず9時~19時まで、メールは24時間365日、対応可能です。
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