孤独死の原状回復~費用・内容・生活保護、大家の請求・告知義務はどこまで?~

孤独死をして発見が遅れてしまった場合、部屋の壁紙・クロスの交換など、原状回復の費用が必要になることがしばしばあります。このとき、下のような点が気になる方が多いでしょう。

  • 誰がどこまで、支払いの責任を持つのか
  • 保証人でなくても、子供だったら責任があるのか
  • 金額は平均でいくらくらいなのか

この記事では、こうした「孤独死の原状回復費用」に関するさまざまな疑問について、まとめて答えていきます。孤独死で原状回復費用が必要になって悩んでいる方には、きっと参考にしていただけるでしょう。

この記事の目次

孤独死での原状回復費用・3つのポイント

原状回復

まず、多くの人が最初に気にするのは「誰が払うか」「金額はいくらか」「子供にも支払い義務があるのか」という点でしょう。ここでは、この3つのポイントについて解説していきます。

誰が出す?…「本人・保証人・保証会社・損保会社」の順

「誰が費用を出すのか」については、責任がある順番に下のようになります。

  1. 本人(本人が加入する保険会社なども含む)
  2. 連帯保証人(通常、保証人と同じ意味)
  3. 保証会社・保険会社(大家・業者が加入している会社)
  4. 大家・業者

以下、それぞれの責任について説明していきます。

本人(加入する保険会社なども含む)

まずは亡くなった本人に支払い義務があります。ご自身は亡くなられているわけですが、預貯金や加入していた保険はあるためです。

  • 現金・預貯金があればそこから
  • 加入していた保険が降りるならそこから

このような流れで、支払いがなされます。この段階で無事に完了するケースも多いものです。

連帯保証人

続いて連帯保証人です。最近は「保証会社がいれば保証人なしでもOK」という賃貸物件も増えました。その場合は、次の段落の「保証会社」に飛びます。

一般的には、孤独死をされるような高齢者の方が部屋を借りる場合、保証人なしでOKということはありません。経済的な信用があっても、健康面のリスクがあるためです。

「何かあったときすぐに連絡できる人がいる」「保証人になってくれるくらい、緊密な関係である」ということが、ご本人のためにも重要といえます。このような理由から、大抵は保証人がついています。

そのため、ご本人の資産から支払いができない場合は、保証人が支払うことになります。

保証会社・保険会社

ビル

保証人も支払えないとなると、保証会社や保険会社が支払います。優先されるのは保証会社です。

保証会社は「連帯保証人の会社版」のため、保証人の次に責任を追うのです。先に書いた通り保証人がいない場合は、保証会社がすべての責任を負います。

その次の保険会社については任意加入です。物件のオーナー・不動産会社などが自主的に保険に入っていたら、その保険(主に傷害保険)から支払いがなされます。

「故人が入っていた保険」については、最初の「本人」の段階に含まれます。

大家・業者

困る大家さん

ここまで書いたすべての人が支払えない、あるいは保証や保険をつけていなかった、という場合もあるでしょう。この場合は、大家さんや不動産業者が自ら支払うことになります。

言うまでもなく、これは大変な打撃です。その後ずっと賃料が下がる、売却価格が下がるなどのデメリットがあるわけですから、まさに「ダブルパンチ」といえます。

しかし、一般的には最後の「保証会社・保険会社」の段階で食い止められるものです。あまりに凄惨な事件や「発見までに時間が経ち過ぎた」という場合は別ですが、通常の孤独死ならこの段階で止まります。

全額の支払いはしてもらえなくても、8割程度など、それなりの金額は出してもらえるものです。孤独死は年間3万件を超えていますが、これは自殺者の件数とほぼ同じであり「現実に遭遇することは少ない」ためです。

(孤独死の何割かは、高齢者の方が持ち家の自宅で亡くなったものです)

このように、保証会社や損害保険会社による保証をつけていれば「大抵はなんとかなる」ものです。不必要にリスクを恐れるよりは、ある程度の出費を覚悟して「事前に保険に入っておく」ようにしましょう。

金額は?…平均39万円、最大415万円

電卓と家の模型

孤独死の原状回復費用については、信頼性の高いデータがあります。2018年3月に「一般財団法人・日本少額短期保険協会」が出したレポートです。タイトルは「第3回・孤独死現状レポート」といいます。

このレポートでは、孤独死の原状回復費用が、下のように書かれていました。

平均損害額 39万1541円
平均支払保険金 25万5455円
最大損害額 415万8000円

もっとカンタンに書くと、下のようになります。

  • 平均…39万円
  • 最大…415万円

そして、これらに対して「保険がおりた金額」の平均が25万円ということです。平均で14万円足りないということになります。

そして、最大の場合は415万円の損害ですが、これでもし「平均程度の保険金しか下りなかった」としたら、390万円を自腹で払うということです。

14日以内に発見されると上記のようになる

上記の相場は、大体14日以内に発見された場合だと考えてください。これは、レポート内で下のように書かれていることからわかります。

全体でみると、14日以内に発見された人数は、全体の68.6%となり、過去2回のレポートより大幅に改善されている。(昨年のレポートでは14日以内の発見は全体の46%)
第3回・孤独死現状レポート(一般財団法人・日本少額短期保険協会)

ほぼ7割が14日以内で、上記のような金額になっているため「14日以内なら上で書いた相場になる」とイメージしていただくといいでしょう。

保証人でなく「相続人」なら、相続放棄をすれば支払義務なし

相続放棄

一人暮らしをしていた親御さんが孤独死されたときなど、「保証人でなくても原状回復費用を出さなければいけないのか」という点が気になるでしょう。結論をいうと、相続放棄をすれば出す必要はありません。

  • 保証人なら、相続放棄をしても支払い義務がある
  • 保証人でないなら、相続放棄をすればOK

上記のようになります。大家や不動産会社がどれだけ「家族なのだから払ってほしい」といっても、相続放棄をすれば払う必要はないのです。

相続放棄をするなら、遺品整理をしてはいけない

相続放棄をするときの注意点として「放棄が完了するまで、遺品整理をしてはいけない」という点があげられます。遺品整理をすると「財産を相続した」と見なされてしまうためです。

もちろん、明らかに必要な「清掃」の類は問題ありません。悪臭などで近所に迷惑をかけている場合、その方々のためにも清掃をする必要があります。

このような「清掃」の類ではなく「財産を整理するような遺品整理」は、してはいけないのです。このあたりは一般の方では線引きが難しいため、遺品整理業者に相談していただくことをおすすめします。

(この相続放棄と遺品整理の関係については、下の記事をご覧ください)

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孤独死での後片付けの内容は?主な3つを解説

遺品整理

孤独死での後片付けと一口にいっても、内容はケースバイケースです。ここでは「主な3つの内容」を、それぞれ紹介していきます。

遺品整理…形見の品などの仕分け・通常の清掃

遺品整理は誰でも必要になるものです。銀行通帳などを探し出し、必要な遺品と不要な遺品を仕分けします。不要な遺品についてはお焚き上げなどをして供養する必要があります。

(遺品の供養については下の記事を参考になさってみて下さい)

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特殊清掃…やや凄惨な現場での清掃

特殊清掃が必要なのは、孤独死の中でも下のようなケースです。

  • 発見が遅れ、遺体が損傷していた
  • ウジ・ハエなどの害虫が湧いていた
  • 発見は早かったが、多量の血が流れていた

他にもいくつかのケースはありますが、要は「血・体液・死臭・害虫」などの問題があったときに、特殊清掃が必要になります。また、業者によってこのような問題がなくても「孤独死が起きた現場の清掃」を、すべて特殊清掃と呼ぶこともあります。

ハウスクリーニング…消臭工事など、本格的な清掃

これは「特殊清掃とリフォームの中間」と考えてください。特殊清掃をしても「まだ壁に染み付いた匂いが消えない」ということがあります。

このようなニオイの消臭工事についても「特殊清掃」と分類する会社も存在します。このあたりの分類は会社によりますが、全体的には「ハウスクリーニング」として別物で扱うことが多いといえるでしょう。このような作業になると「提携しているクリーニング会社」などが出てくることも多いためです。

何にしても、孤独死に伴う「事後処理」であるため、こうした内容も「孤独死の後片付け」に含まれます。

(孤独死の後片付けで、特に空き家のケースについては、下の記事で詳しく解説しています)

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生活保護の孤独死で、原状回復費用は誰が出す?

生活保護

親兄弟などの家族が生活保護をもらっていて、その状態で孤独死をしてしまうということもあります。この場合、アパートの原状回復の費用は誰が出すのか、という点が気になるでしょう。この段落では、その点を解説していきます。

アパート賃貸の連帯保証人が支払う

通常、生活保護を受けている人がアパートを借りるとき、連帯保証人がついているはずです。短縮して「保証人」と呼ばれることが多いですが、意味は同じです。

連帯保証人は、賃貸でも借金でも「本人と同じ責任」を負います。連帯というのは「つながる」という意味ではなく「イコール」という意味なのです。

このため「自分が孤独死して部屋を汚した」のと同じ責任を負います。例外的なケースでない限り、原状回復費用はすべて「保証人が負担する」ことになるわけです。

連帯保証人の責任は相続放棄をしても消えない

上に書いた通り、賃貸契約の連帯保証人であった以上「自分がやったのと同じ責任」を負います。このため、相続放棄をしたとしても、原状回復の義務は消えません。

保証人でなかったら義務はないのか?

連帯保証人になっていなかった場合、義務はありません。ただ、生活保護受給者に対して「保証人なしで部屋を貸す」というオーナーや不動産会社はあまり存在しないものです。

例外的に「後から生活保護受給者になった」ということもあり得ます。しかし、そのような状況の方は最初の審査の段階で、不動産業者もある程度わかるものです。

そのため、二年後の契約更新時などに「現在の職業・収入の状況」を確認します。大抵はそのときに「バレる」ため、保証人なしで生活保護受給者の方がアパートを借りられる、ということはほとんどないのです。

そして、誰が保証人になっているかといったら、大抵は家族です。このため、家族が孤独死による原状回復の費用を出すことになります。

契約書に「原状回復の義務」がなければOK?

これはめったにないことですが、賃貸借契約書に「原状回復の義務」が記されていないこともあるかもしれません。この場合は、本人だろうと家族だろうと「原状回復の義務」が最初からないわけです。

このため、連帯保証人になっていたとしても「原状回復費用を出さなくていい」可能性があります。ただ、このような契約はめったにありません。通常は必ず、原状回復義務を設定するものです。

そのため、この説明はあくまで「法律的にはこうである」「しかし、実際にそのようなケースはめったにない」という意味だと理解してください。

アパートで孤独死が起きたときの大家の対応・3ステップ

孤独死

アパートやマンションなどの賃貸物件を経営していると、日々さまざまなトラブルに遭遇するもの。その中でも「入居者の孤独死」は、多くの大家さんが初めて経験する大事件であり、混乱してしまうことが多いでしょう。

アパートで孤独死が起きた時、大家がやるべきことを大別すると、下の3つになります。

  • 遺体確認
  • 片付け
  • 費用清算

それぞれ分けて説明していきます。

遺体確認(家族・警察への連絡)

まず、亡くなられた方のご遺体を確認します。大抵は隣室や近所の方から通報がある、大家が自ら異臭などに気づく、というパターンで始まります。

その部屋のスペアキーを持っていればいいのですが、そうでないことも多いでしょう。その場合は、まず家族に連絡します。

家族が来られるなら来てもらい、立ち会いのもとで鍵師などに鍵を開けてもらいます。スペアキーを持っている場合は、このようなときに立ち入ることを契約時に説明しているはずなので、様子を見る程度にドアを開けてもかまいません。

家族がすぐに来られないようであれば警察に連絡し、警察の立会いのもとで中に入ります。単独で第一発見者になると問題が起きることもあるため、基本的には警察や家族の立ち会いのもとで、中に入るようにしましょう。

警察が遺体の鑑識などを行う

パトカー

最初に家族が来ても来なくても、入居者の方が孤独死されていたら、警察を呼ぶ必要があります。警察に事件性の有無などを調査してもらうためです。

ほとんどの孤独死では、事件性はありません。しかし、警察が鑑識をし、終わった後は霊安室に搬送するなどの手順が必要になります。

そして、家族が後から来た場合は、その霊安室での身元確認を行い「本人である」ことがわかったら、室内の片付けに入ります。本人であることがわからなければ「勝手に他人が侵入して死亡しただけ」という可能性もあるため、後片付けや清掃はできません。

片付け(遺品整理・特殊清掃など)

身元の確認まで完了したら、片付けが可能となります。これは下の段落で説明した通り、遺品整理・特殊清掃・ハウスクリーニングに大別できます。

孤独死での後片付けの内容は?主な3つを解説

(詳しくはリンク先の段落をご覧いただけたらと思います)

費用清算(交渉・保険査定・入金確認)

特に難航しがちなのは、最後の費用清算です。「誰が、どこまで支払うのか」ということが焦点となります。

ここまでも書いてきた通り、ご本人や保証人の資産から出せるのであれば、問題ありません。また、保険が満額でなくても、ある程度の金額下りるのであれば、費用に関して大きな問題は起きないでしょう。

しかし、このような条件を満たせなかったときには、ご遺族など必要な相手との交渉や、その方々からの入金待ちなどが必要になります。場合によっては裁判になることもあり、この段階が特に正念場といえるでしょう。

入居者が死亡したら、原状回復費用はどこまで請求できる?

工事をする業者

入居者が孤独死してしまったとき、原状回復の費用をどこまで請求していいのかは、すべての大家さん・オーナーさんが悩むところだといえます。ここでは、原状回復費用を請求できる範囲について解説していきます。

自殺なら家賃値下げの損害も請求可能

自殺の場合、入居者が意図的にしたことなので、家賃の値下げについての損害も請求できます。その値下げが「妥当である」ことが条件ですが、好きで家賃を下げる大家さんは当然いないでしょう。そのため「不当な金額を要求する」ということ自体がないため、大抵は請求できます。

何年分請求できるのか

これはケースバイケースですが、過去の判例では下のようなものがあります。

  • 2年間の値下げ分を請求できる
  • 1年間は全額分、次の1年間は家賃の半額

このように「合計の期間は2年程度」となるものが多くなっています。しかし、自殺の状況にもよるため、1年前後になることもあれば、3年程度となることもあります。

突然死・自然死の場合は、値下げ分は請求できない

自然死した女性

逆に自殺ではなく、突然死・自然死してしまったという場合には、家賃の値下げ分は請求できません。これは「わざとやったわけではない」ので、当然のルールといえます。

確かに、大家さんから見たら「損害を出された」わけなので、請求したい気持ちもあるでしょう。しかし、誰だって好きで突然死するわけではありません。

基本的に法律は弱者を守ることを優先するため、このような場面では家賃の値下げ分はできないか、極めて難しいと考えてください(状況によってはできることもあります)。

回収のために保証会社や保険を利用する

特に家賃の値下げ分を要求できない場合や、連帯保証人が支払いをできないケースなど「損害賠償を入居者の側に請求できない」ということもあります。このような状況は、起こってしまってからでは対応が難しく、事前の対策が必要になります。

保証会社保証をつけておく

まず、もっとも有効なのは「保証会社による保証をつけておく」という方法です。この保証は家賃の支払いを滞納されたときだけでなく、原状回復費用や、家賃値下げの損害賠償にも適用されます。

もちろん、どこまで適用されるかはその保証会社や、保証のプランにもよります。このため「値下げの損害まで適用されるもの」で契約しましょう。

それでも全額保証されるとは限りませんが、平均的な損害であればかなりのレベルまで補償されます。

保険に加入しておく

住宅保険

これは保証会社ではなく損害保険会社によるものです。損害保険はプランや特約によってさまざまな内容がありますが、入居者の孤独死による家賃値下げなども、対象に加えることができます。

もちろん、契約の際は「かなり補償される」と言っていても、実際にトラブルが起きると「ほとんど支払ってくれない」という保険会社も存在します。そのため、どの保険会社がいいかは、信頼できる大家さんなどの口コミで調べるといいでしょう。

連帯保証人が支払えないリスクは考えておく

上記のような準備をしていなかった大家さんは、大抵「連帯保証人が支払ってくれると思っていた」と言うものです。普通は確かに保証人が払ってくれますし、このように保証人を信頼する気持ちも悪いものではありません。

しかし、基本的に家族や親族の経済力というのはつながっているものです。亡くなった入居者ご本人に貯金がない場合は、保証人の家族にも貯金がないことが多いといえます。

保証人が登場するのは当然「本人が支払えないとき」ですが、そのようなときに限って「保証人も支払えない」ということが多いのです。保証人も盤石な家族・親族であれば、本人も盤石ということが多いわけですね。

このため「連帯保証人が払えないことは意外と多い」と考えてください。多少保険料などが高くなっても、上に書いたような対策を打っておく必要があるのです。

賃貸での孤独死は、どこまで告知義務がある?

重要事項説明書

あなたが賃貸物件のオーナー・大家さんであったり、不動産会社の方である場合「賃貸での孤独死は、どこまで告知義務があるのか」という点が気になるでしょう。ここでは、この点について説明していきます。

自然死で早期発見されたら義務なし

一般的には「自然死で早期発見された場合には、告知しなくてもいい」とされています。

  • 死んだのは同じなのに、なぜ告知しなくていいのか
  • どのくらいから早期発見というのか

という疑問が湧く方も多いでしょう。実は、これには明確な答えがありません。「現場が全体的にそのように動いている」ため、こうしたルールになっています。

自然死が問題にならない理由

「自然死でも発見が早くても、その家の中で人が死んだこと自体が問題」と思う人もいるでしょう。日本人には思想や信仰の自由があるため、このように考えること自体は問題ありません。

ただ、それは気になる人だけが質問すればいいのです。そして、聞かれた側は嘘をついてはいけません。その物件で、早期発見したとはいえ、自然死があったのならそれは告知する必要があります。

聞かれない限りは言わなくていい

不動産の契約

逆にいえば、このくらいのレベルであれば「聞かれない限りは言わなくていい」のです。聞かないという時点で「そのくらいなら気にしない入居者の方」である可能性が高いでしょう。

仮に後から問題になったとしても、一般的にこのレベルであれば告知しないため「社会通念上適当である」と、裁判官も判断することが多いのです。つまり、わかりやすく言うと「裁判になっても勝てる」といえます。

このように「最悪裁判になっても問題ない」という理由から、多くのオーナーや不動産会社が「自然死で早期発見なら、聞かれない限り告知しない」という方向で動いています。今後の流れによっては変わる可能性もありますが、法律が変わらない限りは、向こう5年程度は同じ状況が続くでしょう。

殺人・自殺・遺体の腐敗があったら義務あり

ここまでの内容とは逆に、下記に該当する場合は告知義務があります。「聞かれなくても言わなければいけない」ということです。

  • 殺人や自殺など、凄惨な事件・事故があった
  • 発見が遅れ、遺体が腐乱していた

これらについて告知義務があることは言うまでもないでしょう。これも「動物だったら気にしないはず」という考え方もあります。しかし、現実に多くの国で人間が気にする内容であるため、これらは告知義務があることが自然といえます。

(こうした心理的瑕疵のルールについては「こうだからこう」という科学的な根拠がありません。この点は法治国家の中でも「宗教国家のような部分が残っている」といえます)

魅力的なリノベーションをし、詳しく告知するのがベスト

オシャレなリフォーム

ここまで書いた通り「どこまで告知義務があるか」は、完全なグレーゾーンです。業者の間でも、弁護士などの専門家の間でも意見が割れています。

確かなことは「できるだけ詳しく告知する方が、後からトラブルにならない」ということ。たとえ「裁判になったら勝てる」にしても、そもそも裁判まで行きたいという人は少ないでしょう。

裁判に勝っても禍根が残る

これは日常生活の感覚でもわかるでしょうが、裁判でたとえ勝っても、負けた側は勝った側を恨むわけです。何かにつけて、名誉毀損や業務威力妨害に「ならない範囲」で、悪い口コミなどを書かれるリスクもあるでしょう。

そう考えると、やはり「裁判などのトラブルが一切起きないのがベスト」なのです。実利的な理由もありますが、人間的にもその方がお互い気持ちいいといえるでしょう。

そのため、告知義務の範囲で迷ったら「できるだけ詳しく説明しておく」方が良いのです。

魅力的なリフォームをしたら、借り手は十分につく

世の中は広いため、事故物件に対する入居者の考え方もさまざまです。

  • 「故人に失礼かもしれないけど、人が死んだとかはまったく気にならない」
  • 「1割でも安くなるなら、その方が断然いい」

このような「合理的な考え」をする入居者は意外に多いのです。ただ、こうした入居者も「部屋が魅力的であること」は求めます。

「いかにも孤独死が起きそうな部屋」では、やはり誰も入居しないものです。逆に「言わない限り、誰も事故物件だとは思わない」というおしゃれなリノベーションをしたら、1割など少し家賃を下げるだけでも、借り手がつく可能性が高いでしょう。

(気にしない人にとってはメリットしかないわけですから)

物件が魅力的で家賃が高ければ、イメージは良くなる

実は、事故物件の賃貸は家賃が高い方がイメージが良くなります。これは実際に事故物件の賃貸情報を見てみるとわかるでしょう。見るサイトやタイミングにもよりますが「想像よりはるかに高い」と思う人が多いはずです。

これは一種のイメージ戦略で「安くすると、逆に不安がられる」ためです。極端な話、事故物件でない「普通のアパート」でも、家賃が3000円だったら「絶対に何かある」と、誰でも疑うでしょう。

逆に家賃が高くて、しかも部屋がおしゃれにリフォームされていれば「大した孤独死ではなかったんだな」と実感してもらえます。実際、おしゃれなリフォームをするために、壁紙やフローリングなどを総入れ替えするわけですから、精神的な「死臭」は薄れているといえるでしょう。

「家賃を高くするだけ」でも効果が出る場合はありますが、より確実に好まれることや、入居者の住む喜びを考えると、やはり「綺麗にリフォームした上で高い家賃にする」のがベストでしょう。

まとめ

オペレーターの女性

身近な方が孤独死をされるというだけでも、大変にショックなことです。そこに原状回復費用の支払いまで加わると、多くの方は精神的にかなりの負担を感じるでしょう。

弊社ではそのような遺族の方々の心情や経済的は事情に配慮し、最大限にリーズナブルな価格で遺品整理や特殊清掃のサービスを提供させていただいております。業界最安値保証を宣言しながらも、遺品整理士などの資格を保有する熟練のスタッフによって、質の高いサービスを提供させていただきます。

孤独死された方のご遺族にしても、物件の大家さんにしても、原状回復費用ではしばしば相手方との交渉が必要になるもの。そのとき、遺品整理や特殊清掃だけでなく、法律にも精通したプロが間に入ることは、非常に有効といえます。

弊社は遺品整理や特殊清掃で高いスキルを持つだけでなく、全国800以上の弁護士・司法書士・不動産鑑定士などとのネットワークを持っていることが特徴。このネットワークを活かし、孤独死の原状回復費用をめぐる交渉でも、ご依頼主様が有利になるよう、強力なサポートをさせていただきます。

まずは何も整理できていない段階でも、お気軽にご相談・ご質問いただければと思います。お見積りなども含めてすべて無料で、電話・メールの両方からお問い合わせいただけます。

孤独死によってショックを受けられているご遺族の方・大家さん・不動産会社さんなどのお力になれれば、この上ない喜びです。まずは何でもお気軽にご連絡くださいませ。

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