空き家の孤独死~不動産価値はいくら下落?解体した更地の告知義務~
少子高齢化や「おひとりさま」の増加で、年々増え続ける孤独死―。内閣府のデータでは「年間3万人を超えた」とされています。
このような状況の中「親が孤独死して、実家が空き家になってしまった」という方も増えているでしょう。そのようなとき、下のようなことが気になるかと思います。
- 空き家をどう片付ければいいのか
- 建物を壊して更地にした方がいいのか
- 孤独死によって、どのくらい物件の価値が落ちるのか
ここでは、こうした「孤独死が起きた空き家に関する疑問」を、すべてまとめて解説していきます。「孤独死が起きた空き家の扱いで困っている」という方には、きっと参考にしていただけるでしょう。
- 孤独死が起きた空き家の後始末・3つのポイント
- 早めに遺品整理や解体をして売却を
- 相続放棄をしても空き家の管理・解体義務は残る
- 後片付け・売却などは専門家に相談して考える
- 孤独死はお祓いで供養すべき?
- 大家・業者・子孫が依頼することは多い
- 自然死…3万・自殺…5万・殺人…7万円が目安
- 「供養証明書」は発行できるのか
- 孤独死で不動産(空き家)の価値はどのくらい落ちる?
- 売却・賃貸の両方で価値が落ちる
- 賃貸の値段が下がりにくい理由
- 転売する場合、告知義務はない?
- 孤独死しても更地にすればOK?解体すれば告知義務なし?
- 建物を取り壊しても義務は残る
- 更地にすれば不動産の価値は若干上がる
- 解体にかかる費用は400~500万円が相場
- 孤独死で土地価格はどれくらい下落する?
- 建物の下落率は3割~5割
- 土地の下落率はケースバイケース
- 売り出す時期によっても変わる
- 孤独死のあった土地を購入するのはお得?
- 大幅に安く、転売する気がないならお得
- 縁起・迷信・風水などが気になるなら買わない
- 土地を有効活用するのは故人にとっても良いこと
- まとめ
孤独死が起きた空き家の後始末・3つのポイント
孤独死が起きて親の住む実家などが空き家になったとき、その後始末・後片付けをどうするべきか、という点で悩む方は多いでしょう。ここではその後始末のポイントを3つ紹介します。
早めに遺品整理や解体をして売却を
孤独死が起きた空き家は、少しでも早く特殊清掃や解体工事をして、売却すべきです。この理由を書くと下のようになります。
- 相続放棄はできない
- 空き家のままにするのはリスクがある
- どの道、遺品整理や解体が必要になるので、早めにする方がいい
特に重要なのは「相続放棄ができない」という点。これができるなら「放っておけばいい」でしょう。
しかし、これができないため、早めに遺品整理や特殊清掃、取り壊しなどをする必要があります。
相続放棄をしても空き家の管理・解体義務は残る
たとえば親が孤独死した場合など、その空き家を「相続したくない」ということが多いでしょう。この場合「相続放棄をすれば、一切空き家と関わらなくていい」と考えている人も多いかもしれません。
しかし、これは間違いで「相続放棄をしても、次の管理者が見つかるまでは管理責任がある」のです。次の管理者が現れるには、誰かがその空き家を「もらってくれなければ」いけません(相続放棄をしたということは「売却」はないので、誰かが「もらう」ことになります)。
国も一般人も、もらいたがることは少ない
相続人が相続放棄するような空き家は、大抵誰も欲しがらないもの。一般人はもちろんですが、国や自治体もわざわざそのような空き家を引き取ることはありません。
これは「税金の無駄使いをしない」ためにも、正しいことだといえます。問題は、国すら引き取ってくれないなら、その空き家はどうなるのか、ということです。
台風などでトラブルが起きたら、相続人に賠償責任がある
空き家は、台風によって戸板などが飛んでいき、近隣の民家に被害を及ぼすなどのリスクが多くあります。このようなトラブルが起きた場合、相続放棄をしていても「相続人が損害賠償をしなければいけない」のです。
「納得がいかない」と思うかもしれませんが、上に書いた通り「税金の無駄遣いをされるよりはマシ」なのです。このため、相続放棄をしたあと、誰も引き取り手がいないなら「相続人が費用を出して、空き家を解体する」必要があります。
(相続放棄については下の記事でも詳しく解説しているので、興味がある方は参考になさってみてください)
後片付け・売却などは専門家に相談して考える
孤独死というのは、言うまでもなく特殊な状況です。この後片付けやその後の売却・賃貸などは、すべて専門家に相談して考えるべきといえます。
後片付けについては「普通に亡くなっただけだから大丈夫」「遺体の腐爛などはなかったからいい」と思うかもしれません。しかし、その空き家を売却や賃貸に出すとき、あなたが借り手・買い手だったらどう思うでしょうか。
- 孤独死した人の子供が自分で清掃した
- プロが清掃した
この両者なら、後者の方を断然信頼するはずです。プロが遺品整理や特殊清掃をした場合は、それが完了した証明書を発行することもできます。
個人が「清掃しました」といっても嘘かもしれません。そして、その嘘がバレても「1件分の信頼を損なうだけ」です。
しかし、遺品整理業者は違います。1回でも嘘がバレたら、これまでの他の仕事についてもすべて疑われ、これから先も疑われるのです。つまり「業者の方が失うものが断然大きい」といえます。
これはどの業界でも同じですが、このような理由で「個人より法人などのプロの方が信頼される」のです。もちろん、こうした社会的な立場だけでなく、単純に技術が上という点でも信頼されます。
つまり、売却や賃貸を成功しやすくするためにも、後片付けの段階からプロに任せるべきなのです。もちろん、その後の売却や賃貸についても、事故物件に強い不動産会社に依頼するべきだといえます。
孤独死はお祓いで供養すべき?
親御さんが孤独死で亡くなってしまった、あるいはアパートなどの入居者が孤独死してしまったというとき「お祓いして供養すべきか」と悩む方は多いでしょう。ここでは、こうしたケースでは一般的にどうするのか、供養する場合の費用はいくらが相場なのか、などの内容を解説していきます。
大家・業者・子孫が依頼することは多い
当然ながら、孤独死が起きた現場で「お祓いをしなければならない」というルールはありません。しかし、依頼する方は多いものです。
- その物件の所有者(オーナー)
- 不動産業者
- 孤独死された方の子孫
これらの方が主に孤独死のお祓いを依頼しています。
自然死…3万・自殺…5万・殺人…7万円が目安
お祓いや供養の類には、明確な料金設定がありません。普通の商品やサービスと違い「心に触れる」ものなので、僧侶や神官の方も、金額を明確に決めて要求するのが難しいわけです。
しかし、楽待不動産投資新聞で、日蓮宗僧侶の及川玄明さんがインタビューに答えられた内容は参考になります。及川さんは孤独死を含めた事故物件など「家のお祓い」を専門的に行っている方です。
その及川さんの場合、事件の内容によって下のような金額で依頼を受けられているとのことです。
自然死 | 3万円 |
---|---|
自殺 | 5万円 |
殺人 | 7万円 |
なぜ内容によって金額が違うのか、と思う人もいるかもしれません。「やることは同じだろう」という発想もあるでしょう。
このあたりは個々人の考え方にもよります。確かなことは「やることは同じ」と考えるなら「そもそも供養自体しなくていい」ということです。してもしなくても、故人が死んだことや、どのように死んだかという「事実」は変わらないためです。
不動産という土地や建物にも、物理的な変化は生じません。つまり、お祓い自体がもともと「やってもやらなくても物理的には同じ」ものです。
このため「内容によって金額が違う」ということも「お祓いをするくらい、魂の存在を信じる人にとっては意味がある」といえます。上記はあくまで及川さんの金額であり、依頼する僧侶の方やお寺・神社によっては別の金額になることもあると考えてください。
「供養証明書」は発行できるのか
特に不動産会社や大家さんの場合「次の入居者に貸し出すために、供養したことの証明書がほしい」ということも多いでしょう。こうしたニーズは多くあるため、お坊さんや神官の方々も対応していることが多いものです。
ただ、僧侶の方によれば「もっとも効果的なのは写真や動画」とのこと。実際「証明書」だけ見せられても「書類を発行しただけではないか?」「発行するだけでお金をとるような寺社とつるんでいるのではないか?」と疑う人もいるでしょう。
それより、実際にお祓いをしている風景の写真・動画を見せる方が効果的ということです。これを見ることで「確かにその土地・その建物でお祓いが行われた」ということを、次の入居者も実感できるためでしょう。
もちろん、正式な供養証明書も発行してもらうべきです。それと合わせて、供養現場の撮影をしっかりするようにしましょう。これを許可しない僧侶や神官の方は少ないはずなので、特に撮影について問題はないといえます。
(なお、孤独死の場合も含めて、遺品や現場の供養については下の記事で解説しています)
孤独死で不動産(空き家)の価値はどのくらい落ちる?
建物にしても土地にしても「孤独死によって不動産の価値が落ちる」ということは広く知られています。しかし「どのくらい下がるのか」「転売するとどうなるのか」などの点は気になるところでしょう。ここでは、こうした「孤独死による不動産の価値の下落」について解説していきます。
売却・賃貸の両方で価値が落ちる
孤独死が起きると、不動産の価値は落ちます。売却でも賃貸でも同じです。
売却では下落率は3割~5割とされますが、賃貸ではそれほど落ちません。事故物件の家賃を見ていて「意外と高い」と感じる人は多いでしょう。
賃貸の値段が下がりにくい理由
これは主に下のようなものです。
- 激安物件はすぐに借り手がつく(情報が出回らない)
- 値段を安くすると、逆に「孤独死の状態がひどかった」と想像させてしまう
- 賃貸は「嫌なら引っ越せばいいの」で、借りる側も購入よりは気楽
- 人が入れ替わるたびに告知義務も薄れていく
一言でいうと「賃貸の方が風通しがいい」というのが理由です。風通しというのはもちろん例えですが「孤独死の記憶が薄れるほど、価値が高くなる」というのは理解できるでしょう。
激安の賃貸事故物件は、すぐに借り手がつく
意外かもしれませんが、激安の事故物件は人気があります。他の段落でも説明したとおり、そもそも「動物的に考えれば、事故物件には何のマイナスもない」ためです。動物はみんな「仲間が死んだ森・草原」で暮らしているため、本来このようなことは平気といえます。
また、東京の中心部などでは、生活上の必要から「とにかくそこに安く住みたい」という人が多くいます。激安の事故物件の賃貸は、こうした方々によってすぐに契約がまとまるため、情報が表に出てこないのです。
このため、全体的に孤独死物件の賃貸相場が高く見え、貸し出す側もそれに合わせて「比較的高い値段」で貸し出せる状態になっています。
値段を高めにする方がイメージが良くなる
これは他の分野でもいえることですが、実は値段を高くする方が「イメージが良くなって逆に売れる」ということが多いのです。そして、これは孤独死物件では特に顕著といえます。
見た目は綺麗なアパートでも「孤独死があった」「値段が異様に安い」となれば「さぞかしひどい死に方をしたに違いない」とい思う人が多いでしょう。実際にはそうでなかったとしても「値段が安い」という理由で、そう思われてしまうわけです。
それなら逆に「値段を高く」する方がいいといえます。「これだけの値段をつけるくらいだから、それほどひどい死に方ではなかったんだろう」と思ってもらえるわけです。
もちろん、死に様を詳細に聞きたがる入居者もいるかもしれません。しかし、それは言葉の表現次第で「取り繕う」こともできるでしょう。また、そもそも人の死について「詳しく聞くのは失礼」と思っている人も多くいます。
こうしたことを考えると、事故物件の賃貸でも「あえて値段を高くする方がいい」のです。このため、賃貸は売却ほど値段が下がることはありません。ただ、やはり通常よりは値段が下がる、ということは意識しておきましょう。
転売する場合、告知義務はない?
実は、これは「グレーゾーン」です。「NEWSポストセブン」は下のように報道しています。
「アルバイトを雇って短期間だけ事故物件に住まわせる。そうすれば次の入居者にはもう告知しなくていいというわけです。しかし、アルバイトを雇うにはお金がかかるので、そもそも何も言わない悪質な業者が圧倒的に多いのです」
事故物件 告知義務は次入居者まで、ロンダリングする業者も(NEWSポストセブン)
ここに書かれている通り「絶対に告知義務がある」のは、「次の入居者まで」なのです。つまり「転売する」あるいは「1回誰かを住ませる」というやり方をすれば、告知義務はなくなるわけですね。
そして、告知義務がなければ孤独死物件でも不動産の価値は落ちません。このような少々問題のある方法をとる業者も存在します。
ただ、判例の中には「間に人が住んでいたとしても、告知義務は残る」としたものもあります。これは後ほど詳しく説明しますが、最終的には「さまざまな条件を見て、総合的に判断する」わけです。
このため、告知義務は「少なくとも10年程度はずっと続く」と考えるべきでしょう。法律的なルールだけでなく、買い手・借り手の心情を考えればこれは人として当然のことといえます。
孤独死しても更地にすればOK?解体すれば告知義務なし?
建物の中で誰かが孤独死してしまった場合「それを取り壊して更地にすれば、事故物件ではなくなるのでは?」と考える方は多くいます。ここでは、本当にそれで事故物件になるのか、告知義務はなくなるのかという点を説明していきます。
建物を取り壊しても義務は残る
孤独死が起きたことの告知義務は、建物を取り壊しても残ります。「何で?」と思うかもしれませんが、これに明確な理由はありません。
そもそも「心理的瑕疵」というのは、物理的瑕疵・法的瑕疵などに比べて基準があいまいなものです。事故物件についても「どんな事件が起きてもまったく気にしない」という人は存在するでしょう。
そのような方にとっては、建物があってもなくても「告知義務自体が必要ない」わけです。日本人の全員がそうだったら、法律はおそらく変わるでしょう。
しかし実際には気にする人が多く、「建物がなくなってもその土地で孤独死があったなら告知が必要」と考える人が多いわけです。こうした「多数決」によって、心理的瑕疵に関するルールが決まっています。
法律的には「社会通念」という
このような「多数決」を、法律の世界では「社会通念」と呼ぶものです。根本的な部分では「理由はない」のですが、教科書的に理由を1つに決めるのであれば「社会通念のため」と理解してください。
(余談ですが、動物ならその場所が不潔であるなどの理由がなければ、事故物件であることなど一切気にしません。そもそも、すべての森や草原は、日々何らかの生き物が死んだり殺されたりしている「事故不動産」です。そう考えると「気にしない人の考え方にも一理ある」といえるでしょう)
更地にすれば不動産の価値は若干上がる
告知義務は消えないものの、更地にすることで不動産の価値はある程度上がります。これも物理的な理由はないのですが、精神的にはほとんどの日本人が納得できるでしょう。
「人が死んだ建物」というのは古今東西、怪談やホラーの題材に使われてきたものです。「人が死んだ更地」がホラーになることもありますが、それは「最初から更地だった場所」で死んだ場合です。
「建物で死んで、その建物を壊した」という設定でも「まだホラーが続く」というシナリオはめったに見られません。それを逆手にとるシナリオも今後登場するかもしれませんが、一般的には「建物がなくなった時点で、あまり怖くなくなる」のです。
このため、孤独死物件も建物の解体をすることで、土地の価値は上がることが多くなります。解体の費用はかかりますが、特に「早く売れる」ことを考えると、メリットは大きいといえるでしょう。
解体にかかる費用は400~500万円が相場
日本の一般的な一軒家の場合、解体費用の相場は400万円~500万円程度とされています。もちろん、正確な金額は物件や状況によって異なります。
- どのくらいの広さか
- 木造か、コンクリート造か
- 作業しやすい立地か、しにくい立地か
- どの業者に依頼するか
- どのエリアか
これらの要素によって金額が大きく変わることは想像できるでしょう。最後のエリアについては、適度な田舎は一番安くなります。東京・横浜・千葉などの都市部と違い、作業がしやすいためです。逆に「過疎地のような田舎」になると、アクセスしにくいため高くなります。
作業しやすい立地・しにくい立地
これは「エリア」とは違います。たとえば下のような条件です。
- 高台だと作業しにくい
- 旗竿地など、道路に面する土地が狭いと作業しにくい
- 隣家と密接していると作業しにくい
わかりやすく「しにくい」方を書きましたが、ポジティブにいうと「間口の広い土地は作業しやすい」「隣家とのスペースがあれば作業しやすい」といえます。
こうした「作業のしやすさ」も含めて解体費用が設定されるため、一概にどのような金額になるかはいえません。しかし、おおよその目安は「400万円~500万円」と考えて下さい。
孤独死で土地価格はどれくらい下落する?
孤独死が起きると、建物だけでなく土地の価値も落ちることはよく知られています。しかし「実際にどのくらい価格が下落するのか」という点も気になるでしょう。ここでは、「孤独死による土地価格の下落」の度合いを解説していきます。
建物の下落率は3割~5割
まず、建物が残っている状態では「3割~5割下落する」とされています。明確なルールはありませんが、過去の取引事例を見るとおおよそこの程度の下落率が相場です。
物件の価格別・早見表
実際、どのくらい物件価格が下がるのかを早見表にしてみましょう。3割減・5割減の場合で、それぞれ下のような金額になります。
本来価格 | 3割減 | 5割減 |
---|---|---|
1000万円 | 700万円 | 500万円 |
2000万円 | 1400万円 | 1000万円 |
3000万円 | 2100万円 | 1500万円 |
4000万円 | 2800万円 | 2000万円 |
5000万円 | 3500万円 | 2500万円 |
5割減の方は、書かれている金額がそのまま「損する金額」にもなります。こちらの方がイメージしやすいでしょう。「建物を残しているとかなり損する」ことがわかるかと思います。
土地の下落率はケースバイケース
一方、孤独死物件を更地にして売却した場合の土地価格は、明確な下落率のデータがありません。この理由は下記の通りです。
- 解体しないで売るケースが多い
- エリアにもよる
前者は「解体費用を出せない」「出しても元が取れない」というのが理由です。先に書いた通り「解体にかかる費用は数百万円」ということが多いため、この支払いができない人、あるいは「しても意味がない」という人も多いのです。
このため「解体して土地を売る」ということ自体が少ないため、明確な下落率を出しにくくなっています。
エリアによる違いも大きい
次に、その土地がどのエリアにあるかも大きな違いです。たとえば東京・横浜などの大都市であれば「解体すれば下落率が一気に下がる」ということが多いでしょう。
- もともと需要が高い
- 都会の方が迷信を気にしない人が多い
- にぎやかなので「幽霊」の類が怖くない
「需要」以外は精神的な理由になりますが、もともと心理的瑕疵は「精神的なもの」です。このため、「都会なら有利」というのも精神的な理由によりますが、上記の理由は納得できる人が多いかと思います。
逆にこれが田舎になると、すべての項目が「逆」になり、不利になるわけです。そのため「建物を解体すれば、どのくらい土地価格の下落を防げるか」は、エリアによるともいえます。
売り出す時期によっても変わる
同じように「解体して更地にした」ケースでも、いつ売り出すかによって土地価格は大きく変わります。言うまでもなく「孤独死から時間が経つほど有利」になるものです。
建物が残っていると、建物自体の老朽化なども加わり、物件によっては「余計に怖くなる」こともあるでしょう。このため、必ずしも年数が経てば有利ということはありません。
しかし、更地になれば「時間とともに怖さが増す」ということはありません。一般的な感覚では「どんどん風化していく」と感じられるでしょう。
このため、孤独死での土地価格の変動は「売り出す時期にもよる」といえます。
- すぐに売却できなくてもいい
- 価格が本来のレベルに近づいてくれればいい
上記のように考えている方は「更地にして、あえて数年後に売る」という選択肢もありといえます。
孤独死のあった土地を購入するのはお得?
売る側・貸す側ではなく、買う側として「孤独死があった土地を購入したい」と考えている方もいるでしょう。そのとき「孤独死があった土地はどのくらいお得になるのか」という点も知りたいかと思います。
ここでは、孤独死が起きた土地を購入するのはお得なのか、メリットは具体的に何があるのか、などの点を解説していきます。
大幅に安く、転売する気がないならお得
まず、お得かどうかはその金額によります。本来の相場より3割~4割程度安いなど、大幅な値下げをされているなら、お得といえるでしょう。
孤独死のあった物件は、建物の場合で3割~5割安くなるとされています。土地だけの場合はこれより割引率が下がるため、3割か4割安くなっていたら、かなり「お買い得」といえます。
転売しにくいため「転売しない」ことが条件
「転売してはいけない」ということはありませんが、孤独死のあった土地は、やはり転売しにくいものです。一度あなたという所有者がついたことで「大分マシ」にはなりますが、それでも告知する限りは売値が下がります。
告知しないで売却することはできる?
これは先にも書いた通り、法律的にはグレーゾーンです。「できる」とする判例もあれば「できない」という判例もあります。
最終的には、下のような諸条件で決まるというのが弁護士の見方です。
- 孤独死からどれだけの年数が経っているか
- 中間で住んだ人、買った人が、物件をどのように使っていたか
- 孤独死したときの遺体の状態はどうだったか
- 転売した人が、どのような理由で告知をしなかったのか
- 告知されなかったことで、実際にどのような不利益が生じたか
これらの条件によって、告知義務違反となるか、ならないかが変わります。基本的には、後で有罪となって損害賠償を請求されることがないよう、告知すべきでしょう。
そう考えると、転売時に土地の価格が下がることは免れません。このため「転売しない人なら、孤独死のあった土地を買うのもおすすめ」といえます。
縁起・迷信・風水などが気になるなら買わない
もし「縁起が悪い」「風水的に良くない」などのことが気になっているなら、買わない方がいいでしょう。あなたが気にしている以上、これらの要素は「あなたの神経回路に働きかけて」実害を及ぼす可能性があるためです。
言うまでもなく、このような「オカルト」的な要素は、物理的には存在しません。しかし、人間の脳は不思議なもので「物理的に存在しない痛み」でも感じることができます。
たとえば事故で右足をなくした人が、そのショックで「ないはずの右足に、今でも痛みを感じる」ということがしばしばあるのです。痛みが電気信号である以上、本人の意識の働きで「電気信号が発生」すれば、そこに痛みや不調が生まれます。
そのため、あなた本人が気にしているのであれば、そのような物件を買うのはやめましょう。逆に「まったく気にしていない」「買った後で近所の人から何かを言われても平気」という方の場合は、買うのもありだといえます。
土地を有効活用するのは故人にとっても良いこと
「孤独死はまったく気にならない」「土地もお買い得だと思っている」という状況なら、条件としては「買い」です。しかし「孤独死を喜んでいるようで、故人に悪い気がする…」という方もいるでしょう。
このような感覚を持っていることは、良いことだといえます。しかし、そうした気持ちがあるなら「むしろ土地を有効活用する方が故人のためでもある」といえるでしょう。
自分が孤独死したと想像すればわかる
たとえばあなたが孤独死してしまったとして、いつまでも「その土地を怖がられる」というのは、あまり気分のいいものではないでしょう。むしろオシャレな家などを建ててもらって、楽しい空気に満ちた場所にしてもらう方が嬉しいはずです。
もちろん「どっかのジイさんが孤独死して安くなってる。ラッキー!」などと言って土地を買われたら、当然不快に思うでしょう。つまり、土地をどう使うかというよりも「どんな気分で買ったか、活用したか」ということの方が重要だといえます。
現時点であなたが「故人に悪い」という気持ちを持っているなら、上の例え話のようなことはないわけです。そのため、遠慮せずに土地を有効活用するのが良いかと思います。
まとめ
以上、孤独死が起きた空き家の後片付け・後始末の方法について解説してきました。序盤にも書いた通り「相続放棄ができない」以上、遺品整理や取り壊しなどをして、早めに売却や賃貸に出す必要があります。
弊社みらいプロセスでは、遺品整理士などの有資格者のスタッフが、孤独死の現場でも丁寧に心を込めて遺品整理・特殊清掃をさせていただきます。御遺体の発見までに時間がかかり、消臭工事が必要になるようなケースでも対応可能です。
また、弁護士・司法書士・不動産鑑定士などの士業と全国800以上のネットワークを持っているのも特徴。このネットワークを活かし、孤独死が起きた空き家でも高く売却・賃貸に出すことができます。
参考:空き家買取業者のおすすめは?業者の選び方のコツや高額買取のポイントも解説
参考:訳あり物件の買取ならクランピーリアルエステート
まずは、わからないこと、知りたいことなど何でもお気軽にご質問ください。ご質問やご相談、お見積りはすべて無料で、何度でもお気軽にご利用いただけます。
亡くなられた方が少しでも安心できるよう、弊社もご遺品の整理や物件の活用などでお役に立てればと願っております。お電話・メールのどちらでも年中無休で対応しておりますので、お気軽にご相談くださいませ。
遺品整理のみらいプロセスの対応エリア
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