老人ホームの退去~片付けのやり方・手順を解説~

近年は老人ホーム・各施設のサービスレベルも高くなり、介護の質・食べ物の美味しさ・内装のおしゃれさと、あらゆる面で高齢者の方が満足しやすくなっています。このような改善が進む中で、親御さんや親戚の方などが老人ホームに入居しているという家庭も、以前よりポジティブに増えているのが現状です。

サービスの行き届いた昨今の老人ホームですが「遺品整理についてはどうすればいいのか」と疑問に思うこともあるでしょう。特に親御さんの健康状態などが悪くなり、寿命について危機感を抱くような段階になると、そうしたことも考えなくてはなりません。

この記事では、そうした疑問にお答えするため「老人ホームでの遺品整理」について、やり方やポイント、注意点などをまとめていきます。親御さんやご家族が老人ホームに入っている、あるいはこれから入る予定であるという方には、きっと参考にしていただけるでしょう。

老人ホームの退去の片付け(遺品整理)のやり方・3つの手順

老人ホームの廊下

老人ホームでの遺品整理のやり方も、本質的な部分では自宅と変わりありません。しかし、細かい部分で違いがあります。

ここではそうした細かい違いも踏まえつつ、老人ホームでの遺品整理のやり方の3つのステップを解説します。

相続に関するものを整理(通帳など)

まず重要なことは「相続に関する遺品を整理する」こと。通常の遺品や形見については「いつまでに整理する」という期限はありません。

しかし、相続には期限があります。相続税の申告が死去から10ヶ月後という期限なので、それより1カ月か2カ月前には、相続に関連する遺品を整理しておく必要があるのです。

このため、遺産に関する遺品は優先的に整理する必要があります。具体的には下のようなものです。

  • 銀行通帳
  • 有価証券(株式など)
  • 不動産の登記識別情報
  • 生命保険関連の書類

他にも多数ありますが、要は預貯金や投資、保険・不動産などに関わるものはすべてです。老人ホームでも個室で生活している場合は、このようなものを持ち込んでいることがあります。

その場合はまず、こうした財産系の書類を1カ所に集めて財産を把握し、兄弟など他の相続人といっしょに遺産分割協議をしましょう(できれば生前に親御さんを交えて済ませておくべきですが、まだ済んでいなかった場合)。

遺産系の書類などを、老人ホームに持ち込んでいない場合

銀行通帳

老人ホームは、ヘルパーさんなどスタッフの方も出入りします。このため「たとえ個室でも、財産系の書類は持ち込まない」という入居者の方も多くいます。「金庫があっても安心できない」ということは多いでしょう。

このため、老人ホームに入居していても、こうした財産系の書類などは、貸し金庫など別の場所で管理しているというケースもあります。このような場合は、金庫を管理する銀行などに事情を話し、回収することも必要です。

このように、少々複雑な作業ではありますが、老人ホームに入居している時点で、こうした書類はある程度整理されているものです。そのため、自宅の一人暮らしで亡くなられた場合などに比べると、整理はだいぶ楽になるといえるでしょう。

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家族・親族で形見分けをする

四十九日程度を目安に、形見分けを行います。これは文字通り「形見の品をみんなで分ける」というもの。

参加する人は、家族・親族はもちろん、親しかった友人の方などでもかまいません。特にルールはないので「故人の形見をもらうべき人」であれば、誰でも参加できます。

金銭的な価値がある形見の場合は注意が必要

通常、形見の品というのは写真や手紙など「金銭的な価値がないもの」です。単純に故人のことを偲ぶために、親しかった人が分け合うものといえます。

しかし、稀に「お金になる形見の品」もあります。具体的には下のようなものです。

  • プレミアのついているコレクション(古いレコードなど)
  • カメラ・時計・楽器などの高価なアイテム
  • 指輪・アクセサリーなど、故人が身に着けていた貴金属

特に最後の貴金属については、通常なら「財産・遺産」として扱われるもの。しかし、故人が身につけていたものだと「形見」とされることもあります。

このような「金目のもの」があると、それを目当てに形見分けに参加する人もいます。こうした方との折り合いをどうつけるかは、細心の注意が必要です。

(大抵の場合は親族など親しい人なので、トラブルを起こさないように「うまくやる」必要があります)

形見分けの詳細については、下の記事をご覧いただけたらと思います。

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残った不用品を供養する(お焚き上げなど)

相続に関する遺品を整理し、形見分けも終わったら、残った品物で売れるものは売却します。それにも該当しないものは「供養して処分」するものです。

この供養の方法ですが、一般的には「お焚き上げ」が行われます。これは簡単にいうと「遺品を浄火で燃やす」もので、仏教と神道ではこの方法で供養するのが一般的です。

日本人の法事は仏教か神道で行われることが多いため、ほとんどの遺品供養はお焚き上げになります。しかし、キリスト教など他の宗教に故人が入られていた場合は、それぞれの方法で供養を行いましょう。

こうした遺品供養やお焚き上げについては、下の記事を参考にしていただけたらと思います。

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老人ホームの遺品整理を業者に依頼するときの3つのポイント

老人ホームの部屋

老人ホームの遺品整理でも、自宅のケースと同様に業者に依頼することができます。ここでは、そのときにどのような点に注意して業者を選ぶべきかなど、3つのポイントを解説していきます。

ホーム・介護施設での実績がある業者に依頼する

老人ホームでの遺品整理は、遺族の方などが自力で行う分には、自宅で行う作業と大きくは変わりません。しかし、遺品整理業者という「第三者」が参加する場合は、それなりの違いがあります。

具体的に何が違うかというと、他の入居者に配慮しながら作業することが必要ということ。老人ホームは体が弱ったお年寄りや、精神的に過敏になっている高齢者の方なども多くみえます。

そうした方々に対してストレスを与えないよう、おだやかに作業する必要があるのです。たとえ料金が安くて作業が迅速でも「コミュニケーションを重視していない」「作業が雑」という業者には、老人ホームでの遺品整理を依頼すべきではないといえます。

退去を急ぐ場合は即日対応可能な業者に

老人ホームのルールによっては、遺品整理を急がなければいけないこともあります。たとえば親御さんの容態が急激に悪化し、老人ホームから病院に移った数日後に亡くなってしまったとしましょう。

この場合、老人ホームのルールによっては「1週間などの短期で出ていかなければならない」ということがよくあります。「お金を払っているのだから、1カ月くらいいてもいいではないか」と思うかもしれません。

実際、退去のルールに寛容な老人ホームもあるのですが、シビアな施設もあるものです。シビアになる理由を説明します。

「これから長く滞在してくれる人」のために、枠を空けたい

老人ホーム

亡くなった方は「これから先の契約」はもうあり得ないわけです。一方、これから入居する方は、短くても半年程度、長ければ10年などの長期間「お客さん」になってくれます。

ということは、同じ1カ月の入居費をもらうにしても「将来性のあるお客さん」からもらいたいのです。そうした方の問い合わせに対して「今はいっぱいで…」と断りたくないんですね。

「空いてます!今すぐご入居いただけますよ!」と案内し、向こう数年利用してもらえる方がいいわけです。このため、経営にシビアな老人ホームは「亡くなったら短期間で退去しなければいけない」というルールになっています。

作業に使える時間は少ないので、即日対応の業者は有利

ここまで説明したようなケースでも「別に、即日片付ける必要はないのでは?」と思うかもしれません。もし「すべての日数を老人ホームの片付けに使える」ならその通りです。

しかし、実際はそうではありません。お通夜・お葬式・初七日、そしてそれらの準備と、やるべきことは立て続けになっています。もちろん、通常の会社でのお仕事や家事・育児などもこなさなければいけません。

そうなると、老人ホームで作業に立ち会える日は限られているのです。その予定すら、直前にならないとわからないということもあるでしょう。

その日に業者が空いているとは限りません。しかし、即日対応が可能な業者であれば、受け付けてもらえる可能性が高くなります。

そのため、退去日が迫っているときには、できるだけ「最短即日対応」とうたわれている業者から順番に、当たっていくといいのです。

複数の業者から無料見積もりをとって決める

これは老人ホームでの遺品整理に限らず、自宅など他の場所で依頼するときも同じです。基本的に何かを業者に依頼するときは、遺品整理でもその他の分野でも「相見積もりをとる」というのが基本といえます。

もちろん、遺品整理はここまでも書いているように「多忙な中」で依頼するものであり、相見積もりをとっている余裕がないこともあるでしょう。その場合は、1件目の業者で満足できる価格であれば、そこで依頼してしまってもかまいません。

しかし、余裕があるならば大体3件程度を目安として、相見積もりをとるのがいいでしょう。「見積もりだけなら無料」という業者が多いため、見積もりをとることについては特にデメリットはありません。

見積もりをとる際には、遺品整理の料金相場を把握しておくのがいいでしょう。これについては下の記事を参考にしていただけたらと思います。

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老人ホームでの遺品の片付けは、自宅とどう違う?

老人ホームのお風呂

親御さんが老人ホームで生活されていて、将来の遺品整理について考えるとき「自宅とどう違うのか」という点が気になることもあるでしょう。ここでは、老人ホームと自宅の遺品の片付けの違いについて解説していきます。

衛生管理が求められる

これは主に業者に依頼する場合ですが、衛生管理を徹底するように求められます。老人ホームの入居者は抵抗力が落ちている方が多いため、細菌などによる感染リスクが高いためです。

このため、遺品整理業者が施設内に入る前にも、服装が清潔であることはもちろん、全身に除菌スプレーをまくよう指示されることもあります。作業員の全身だけでなく、台車など施設内に入るすべての道具が同様です。

こうしたルールは、老人ホームごとにそれぞれ異なるもの。しかし、自宅より衛生管理を厳しく要求されることは、どの施設でも共通です。

厚生労働省でも、下のようなマニュアルを作成して、老人ホームなどの施設に通達しています。

高齢者介護施設1は、感染症に対する抵抗力が弱い高齢者が、集団で生活する場です。このため、高齢者介護施設は感染が広がりやすい状況にあることを認識しなければなりません。また、感染自体を完全になくすことはできないことを踏まえ、感染の被害を最小限にすることが求められます。
高齢者介護施設における感染対策マニュアル

このため、老人ホームでの作業については、遺品整理の業者も徹底した衛生管理を求められるのです。

量が少ないため、短時間&低料金になりやすい

老人ホームに入居するとき、多くの荷物を持っていく方はあまり見えません。共同部屋の場合はもちろん、個室であっても「それほど広くない」ため、最低限の荷物しか持ち込まないことがほとんどです。

このため、遺品整理業者に依頼する料金も安くなりますし、作業時間も短くなります。現場がゴミ屋敷や汚部屋のようになっていることもまずないため、業者にとっては「作業がスムーズにできる場所」といえるでしょう。

高級老人ホームなら荷物も多いが…

高級老人ホームと呼ばれる、高度なケア付きマンションなどは、入居者の方も1DKなどのリッチな間取りで生活されていることがあります。このような場合は、荷物が多くなることもあるでしょう。

しかし、それでもやはり「普通の自宅」よりはだいぶ少なくなります。また、乱雑になっていることも少ないものです。マンション風であっても「老人ホーム」であるため、施設の介護士・ヘルパーなどの方々が、頻繁に出入りすることが理由といえます。

こうして考えると、たとえ広い間取りだったとしても「スムーズに作業が完了しやすい」といえるでしょう。

ごみ屋敷・汚部屋・孤独死などの問題がない

老人ホームは常にスタッフの方々に管理されているため、部屋がごみ屋敷になる、汚屋敷になるなどの問題がありません。もちろん、入居している親御さんが孤独死されることもありません。

これらの点は、遺品整理に限らず老人ホームの大きなメリットといえます。老人ホームに限らず「誰かに管理されている状態」というのは、不自由ではあるものの「大きな問題も起きにくい」のです。

(老人ホームの利用も含めて、孤独死を未然に防ぐ方法については、下の記事でも詳しく解説しています)

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一人暮らしの親御さんが孤独死してしまった場合

上のような老人ホームのメリットは、「単身生活の親御さんが孤独死してしまったケース」を知ると、実感しやすいでしょう。アパートやマンションなどの賃貸住宅で孤独死してしまった場合、平均で30万円、最大で400万円以上の損害賠償が必要になります。また、損害賠償がなくても原状回復の工事が必要になることが多いものです。

また、発見が遅れてしまったら特殊清掃も必要になります。この点は下の記事で詳しくまとめていますが、こうしたリスクを知ると「老人ホームの良い面」を実感できるでしょう(もちろん、親御さんの一人暮らしにも良い面はあります)。

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老人ホームの遺品整理を自分でやる場合のポイント

高級老人ホーム

老人ホームでも自宅でも「遺品整理は自力でやりたい」という方も見えるでしょう。そのように自力で行う場合、どのようなポイントに注意するべきかを解説していきます。

早めに退去する必要があるため、スピードを優先する

老人ホームは一種の「ホテル」のようなもの。賃貸住宅なら1カ月から数カ月単位での退去となりますが、老人ホームは「1日単位」となります。

もちろん、半分マンションのような高級老人ホームもあり、そのような場所では退去をそれほど遺族必要はありません。しかし、一般的な老人ホームであれば、大体1週間程度での退去が必要になるものです。

このため、ホーム内での遺品整理については、完璧を期することなく「スピードを優先」しましょう。

  • とりあえずすべて自宅に持ち帰る
  • 要不要の区別は、自宅で行う

上記が基本ですが、さらに意識しておくべきポイントがあります。

親御さんが亡くなりそうな時点で、整理を進めておくのも一つの選択肢

突然亡くなるのでなければ、ほとんどの親御さんは数カ月から1年など、時間をかけて徐々に死期を迎えるものです。その途中の段階で「ここからはもう助からない」とわかる時があります。

これは生命である以上、当然のことです。家族の愛情がどれだけ深くても、すべての親御さんに「もう助からない」というタイミングは訪れるのです。

この段階で「老人ホームを引き払って生前整理をしておく」というのも一つの選択肢です。これを「縁起でもない」という方も見えるでしょう。

しかし、必ずしもそうとは言えないものです。なぜ「この段階で生前整理をしてもいいのか」ということをご説明します。

これがダメなら、事前に相続について話し合うこともNG

家族会議

当然ながら、亡くなる前に遺産の相続について話し合いをしておかなければ、後々大変なことになります。実際に「争族」という言葉もあるほど、「事前に決めていなかったため、骨肉の争いが起こる」ということが、しばしばあるものです。

事前に相続について話し合い、ご本人の意識がしっかりしているうちにすべて決着しておけば、このような争いは起きなかったといえます。「生前から遺産相続のことを話し合っておく」のは、現代では多くの人が「良いこと」と理解しているでしょう。

昔はこれも「縁起でもない」といわれ、生前に相続について話し合うことをタブーとする家が多くありました(現代でももちろんあります)。

しかし、そのようなご家庭ほど「もっと縁起でもない」相続のトラブルが起きるのです。こう考えると「縁起でもない」という理由で、老人ホームを引き払うのを後にすることは、必ずしも正しいとはいえないことがわかるでしょう。

多くの親御さんは、子どもが苦労しないことを望んでいる

基本的に、多くの親御さんは「自分の死で子どもに迷惑をかけないこと」を望んでいます。たとえば遺品を売却すべきかどうかについては、親御さんの側は7割~8割が「売却できるならしてほしい」とアンケートに答えています。その方が子どものプラスになるためです。

しかし、お子さんの側は「売りたい」と答える人が2割程度に留まります。「親の遺品を売って現金化するのは冷たい」と感じる方が多いのでしょう。

これは、双方に思いやりがあって良い結果だといえます。ただ、確かなことは「親御さんの側は、子どもに負担をかけないことを望んでいる」ということです。だったら、その気持ちをくんで「割り切って作業を進めていく」というのも、一つの考え方だといえるでしょう。

(なお、老人ホームは特に遺品整理を急ぐケースですが、全体的な遺品整理の時期やタイミングについては、下の記事で詳しく解説しています)

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親が元気なうちから、生前整理を進めておく

これは親御さんが入院などをされるさらに前の段階の話になります。老人ホームの場合は特に、この段階から生前整理を進めるべきといえます。理由は下記の通りです。

  • 老人ホームに入居した時点で、親御さんが自身の衰えを理解している
  • 理解できていない認知症なら、後見人として生前整理をする権利がある

このように、親御さんの頭がしっかりしていてもいなくても、お子さんやご家族が生前整理を進めやすい状況なのです。

生前整理の最大の障害がない状態

「生前整理をしておく方が、遺品整理が始まる段階で楽になる」ということは、誰もが理解していること。それでも実行できないのは「親の協力が得られない」ということが多いためです。

いわば、生前整理の最大の障害が「親の協力を得られないこと」となります。しかし、老人ホームに入居している親御さんの場合は、この障害がほぼない状態なのです。

この点で、生前整理を早めに進めたいお子さんにとっては有利といえます。もちろん、ご本人の頭がしっかりしていて「自分でも生前整理を進めておきたい」という場合にも有利です。老人ホームへの「引っ越し」の段階で、不用品をかなり処分しているはずだからです。

このように何かと生前整理で有利な状況のため、それを活かして「多くの作業を、親御さんが亡くなる前に終えておく」のがいいでしょう。

(なお、親御さんの遺品の生前整理・断捨離については、下の記事を参考にしていただけたらと思います)

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葬儀・相続などで忙殺されそうなら業者に依頼する

本来、遺品整理は「ゆっくりできる」ものです。唯一期限がある相続税の申告にしても、亡くなってから10ヶ月後が期限となっています。

しかし、老人ホームの遺品整理ではそうは行きません。施設のルールにもよりますが、1週間から1カ月程度の短期で出る必要があるため、時間的には「最も忙しい遺品整理」ともえいます。

そして、親御さんが亡くなった直後というのは、遺品整理以外のことで忙しいものです。

  • お通夜・葬儀・初七日などの法事
  • 遺産分割の作業(後述)
  • これらの仕事で滞っていた通常業務のフォロー

主に上記の3つで忙しくなります。特に重要なのが3つ目で、お通夜や葬儀などの用事をこなしているうちに、普段こなしている仕事・家事などが止まってしまうのです。

通常でも忙しいのに、それがさらに忙しくなる

忙殺されている主婦

基本的に、日本の社会人は全員忙しいもの。過労でうつ状態になるのがまったく珍しくないほど、多くの方が「普通の仕事だけでも」忙殺されているものです。

そこに加えて、親御さんが亡くなる時期には、介護・看病・看取り・法事と、あらゆる用事が立て続けに起こります。これで「通常業務が止まってしまう」部分も多いのです。

そして、法事などが一通り終わったら、今度はそちらのフォローをしなくてはいけません。つまり、法事や遺産相続が終わっても「まだ第三の仕事がある」のです。

こう考えると「親御さんが亡くなった後」が、以下に忙しいかわかるでしょう。

「遺産分割の作業」について

これは「相続税の申告期限」は10カ月ですが、遺産分割の作業については「早めにする」必要があります。理由は下記の通りです。

  • 相続人全員が集まるタイミングは、四十九日など以外には、なかなかない
  • 相続する財産によっては、早めに分割しなければいけない

つまり、10ヶ月というのはあくまで「税金の申告」だけの期限であって、実際には「親の死後からすぐに遺産分割の作業を進めていかなければいけない」のです。

このため、当記事では「生前整理の重要性」を説いています。何はともあれ、このように「親御さんが亡くなった後は、想像以上に激務をこなさなければ行けない」のです。

無理に抱え込まずに業者に相談すべき

このような状態で、全部自力でこなそうと無理をするのは、あまりおすすめできません。頑張ることと無理をすることは違います。

親御さんを看取ったあと、介護や看病などの疲れが蓄積して倒れてしまう方は少なくありません。このような「共倒れ」になることは、親御さんも当然望まれていなかったでしょう。

こうした場面では、遺品整理は業者にまかせるなど、「プロに依頼できる部分は依頼し、負担を軽くしていただく」のがいいかと思います。このあたりは個々人の価値観にもよりますが、自力での遺品整理は、あくまで「無理なくできる範囲」にとどめていただくのがいいでしょう。

(なお、自分で遺品整理をするときのポイントは、下の記事でも詳しく解説しています)

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まとめ

オペレーターの女性

老人ホームでの遺品整理は、自宅での遺品整理よりは全体的に負担が軽いものです。しかし、上にも書いた通り「看病・法事・遺産相続」などの作業が連続する中では、遺品整理を自力で行うことが困難になることも多いでしょう。

そのようなときは、ぜひ遺品整理業者を頼っていただけたらと思います。多くの方にとって「遺品整理を業者に依頼する」というのは、人生で初めてのことであり、その後もめったに経験するものではありません。

このため「業者に依頼するとどうなるかわからない」と、躊躇する方も多いものです。弊社ではこうした方にもご安心いただけるよう、お見積りやご相談などに、すべて無料で対応しております。

どのような些細なことでも、熟練のスタッフが丁寧にお答えさせていただくため、老人ホームでの遺品整理に関する疑問も、一つひとつ解消していただけるでしょう。そうして遺品整理のサービスについてご理解いただいた後「依頼したい」と思ったら、ぜひお任せいただけたらと思います。

老人ホームに入居されていてもいなくても、亡くなる親御さんは皆、お子さんの人生が良いものになるよう願われているものです。私ども遺品整理業者も、残された方のご負担を軽減することで、そのような故人のお気持ちを汲み取り、お手伝いさせていただけたらと願っております。

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