形見分けとは?時期・金額・お礼・手紙などのルール
遺品整理には多くの仕事があります。そして、その中でも特に大きな仕事の1つが形見分けです。
- 形見分けとは何か?
- 必ずやらなければいけないのか?
- いつ頃やるのか?
上記のような疑問を抱えている方も多いでしょう。ここではこれらの疑問への答えも含めて、形見分けの時期や金額など、あらゆるルールや関連する知識をまとめていきます。
形見分けについてわからないことがある方、やるべきかどうか悩んでいる方など、多くの遺族の方に参考にしていただけるでしょう。
- 形見分けとは
- 故人の所持品を、親しい人に分配すること
- やるかやらないかは自由
- 形見分けの時期はいつ?
- 決まりはない(いつでも自由)
- 仏教…四十九日明け
- 神道…五十日祭・三十日祭
- キリスト教…1カ月命日の追悼ミサ
- 形見分けには友人も参加できる?
- 儀式の邪魔になるため参加しない方がいい
- 形見分け前の休日に、アポをとって訪問する
- 友達が偲んでくれるのは、遺族にとっても嬉しいもの
- 現金による形見分け
- ルール的にあり?なし?
- 包装方法(包み方)
- 贈与税は原則かからない
- 相続税は関係ない
- 形見分けの金額
- 金額の決まりはない
- 110万円を超えると贈与税がかかる
- 価値の高低ではなく「故人の思い出」が重要
- 形見分けのお礼・お返し・手紙は必要?
- 不要(しないのが普通)
- 手紙は書かなくても、電話・メールなどの連絡はする方がいい
- 最終的には故人・家族との人間関係による
- 時計・カメラ・アクセサリーの形見分け
- 資産価値の高い物は、遺産分割協議に加える
- 遺品整理をまかせる業者にも注意
- 形見分けを英語でいうと?
- Distribution of mementos(形見の分配)
- 「形見」の発想は海外にもあるのか?
- まとめ
形見分けとは
形見分けという言葉を、初めて聞く方もいるでしょう。ここではまず「形見分けとは何か」という概要を説明します。
故人の所持品を、親しい人に分配すること
形見分けとは「故人の衣服や所持品などを、親しい人に分類すること」です。親しい人とは家族・親族・友人など、すべての人が含まれます。
やるかやらないかは自由
形見分けは日本の慣習の1つです。法律的に規定されているものではないため、やるかやらないかは個々人・各家庭の自由です。
最近では形見分けだけでなく「日本の慣習」自体にとらわれない人が増えてきました。そのため、形見分けも行われないことがあります。
家族・親族に高齢の方や年配の方が多い場合、今の日本では「やることが多い」と思ってください。
形見分けの時期はいつ?
形見分けを行う時期について、ポイントをまとめると下のようになります。
- 基本的にいつでもいい
- 故人が信仰していた宗教・宗派による
- 多くは仏式で四十九日に行われる
以下、これらのポイントも含めて、形見分けの時期について説明していきます。
なお、形見分けだけでなく「遺品整理自体をいつからすべきか」については、下の記事を参考にしていただけたらと思います。
決まりはない(いつでも自由)
形見分けの時期に関して、決まりは特にありません。宗教ごと・宗派ごとのルールはありますが、国で統一されたルールや慣習などはありません。そのため、いつ行っても自由です。
仏教…四十九日明け
仏式で形見分けを行う場合、四十九日の忌明けに行うのが一般的です。簡単に書くと「仏教=四十九日」です。
仏教にもさまざまな宗派があります。浄土真宗・真言宗・日蓮宗などが主なものですが、宗派によって多少ルールが異なるものです。
このため、気になる方はお通夜やお葬式の際に、四十九日に依頼するお寺・お坊さんに尋ねるといいでしょう。
神道…五十日祭・三十日祭
神道のスタイル(神式)で行う場合、下の2つのいずれかに行うことがほとんどです。
- 五十日祭(50日後)
- 三十日祭(30日後)
30日ではまだ早いということで、50日後の五十日祭が選ばれることが多いようです。
神道も宗派によって異なる
あまり知られていませんが、神道にも仏教と同じく宗派があります。主なものは下の5つです。
- 神社神道
- 教派神道
- 国家神道
- 宮廷神道
- 学派神道
宗派といっても「〇〇宗」とはいいません(これは仏教の分類方法であるためです)。上記の通り「○○神道」という分類になります。
○○の部分だけ抜き出すと「神社・教派・国家・宮廷・学派」となります。日本人が想像する神道の大部分は「神社神道」です。
神道の中でもどの宗派を信じるかによって異なりますが、多くの場合は五十日祭・三十日祭のタイミングで形見分けをする、と考えてください。
キリスト教…1カ月命日の追悼ミサ
キリスト教の場合、一般的に「1カ月命日」の追悼ミサで形見分けをします。これもやはり教派によって異なります。
- プロテスタント
- カトリック
- オーソドックス
- ロシア正教(東方正教)
- その他の新教派
キリスト教も他の宗教と同じく、完全な分類判断が難しいものです。ロシア正教をキリスト教に含めない人もいます。そのため、上記の分類はあくまで「参考程度」と考えてください。
何にしても、それぞれの宗教に「日本でいう形見分けに近い儀式」や「それをすべきタイミング」があるため、それに合わせて行います。もちろん、故人がこれらの宗教を信仰していたとしても「儀式に厳密にこだわる人」でなかった場合は、ガチガチに考える必要はありません。
なお、形見分けも含めた「遺品整理の時期・ステップ」については、下の記事でも詳しく解説しています。遺品整理の段取りについて詳しく知りたい方は、こちらも参考にしていただけたらと思います。
形見分けには友人も参加できる?
親しい友人が亡くなった場合など、その形見分けに自分も参加したいと思うことは多いでしょう。ここでは、形見分けには友人・知人も参加できるのかを説明していきます。
儀式の邪魔になるため参加しない方がいい
結論をいうと、形見分けという「儀式」自体には参加しない方がいいでしょう。「形見分けの時期はいつ?」の段落でも書いた通り、形見分けは四十九日などの「儀式」の際に行われます。
儀式当日は、遺族も忙しい
当然ながら、儀式の当日は遺族の方々もお忙しいものです。四十九日では一般的に数十人の参列者がいます。多ければ100人や200人ということもあります。
こうした大人数をもてなすわけですから、遺族にとっては「イベントの運営」に等しいのです。その中に「友人とはいえ、関係のない人」が入ってきたら、混乱してしまいます。
このため、四十九日などの形見分けの「儀式当日」には、参加しない方がいいのです。
形見分け前の休日に、アポをとって訪問する
上の段落で書いたことは、あくまで「儀式当日はNG」というだけです。つまり「形見分けという儀式」に参加しなければいいのです。
ではどうするのかというと「形見分け前の休みの日に訪問する」というのが一般的です。もちろん、遺族の方に事前に連絡し、アポイントメントをとった上で伺います。
なぜ形見分け前なのか
後でもいいのですが、前の方が「確実にもらうべきものをもらえる」ためです。もちろん、もらうべき物とは「高価なもの」ではありません。
一言でいうと、遺族の方から見ても「あなたが一番、もらうのに相応しい」という品物です。たとえば、あなたが高校時代のサッカー部の親友だったとしましょう。
そして、故人が高校を卒業するときに、みんなでサッカーボールに寄せ書きをし、それを大事に保管していたとします。もちろん、あなたの名前と寄せ書きもその中にあります。
この場合、この品物をもっとももらうべき人はあなたでしょう。もちろん、他のサッカー部の友達でもいいのですが、他の友達がもらいに来なかった場合は、あなたがもらうべきものです。
友達が偲んでくれるのは、遺族にとっても嬉しいもの
こうした形見の品を、古い友人などがもらいに来てくれることは、遺族の方にとっても嬉しいものです。「そんなに友達に思われていたとは」と、喜んでくれることが多いでしょう。
もちろん、性格は人それぞれです。誰もが上記のように思わなければいけない、ということはもちろんありません。
しかし、日本人の一般的な傾向からいうと、下の条件を満たしていれば、友達などが形見をもらいに来ることは「嬉しいことが多い」といえます。
- 「忙しくてそれどころじゃない」という状態ではない(余裕がある)
- 故人との関係が良好だった(仲が悪かったら、その友達にも邪険にすることがある)
- あなたが失礼な態度をとらなかった(これは普通は大丈夫でしょう)
人間関係や友情というのは、一概に「こうあるべき」とか「こうすれば、こうなる」とはいえないものです。そのため、友人への形見分けについても「大体こうである」としかいえません。
しかし、ここに書いたような注意点を意識していただければ、おおむね問題はないといえます。
現金による形見分け
現金による形見分けについて、ポイントをまとめると下のようになります。
- 個人の希望ならあり
- 包装は無地の白封筒でメッセージを添える
- 贈与税・相続税はほとんど関係ない
以下、これら3つのポイントも含めて、現金での形見分けについて解説していきます。
ルール的にあり?なし?
まず気になるのは「形見分けで現金を渡すことはルール的にありなのか、なしなのか」という点でしょう。結論をまとめると、下の通りです。
以下、それぞれ詳しく解説していきます。
故人の希望ならあり
形見分けについてルールはありません。そもそも、形見分け自体が「やってもやらなくてもいい」ものです。
そのため「何を贈るか、もらうか」ということについてもルールはありません。故人が「ありがた迷惑にならないように現金で贈りたい」「もらう人が現金を希望したら、それを呑んであげてほしい」などの希望を残されていた場合、それに従うべきだといえます。
もらう側は「現金で」と要求できる?
法律的には何も問題ありません。ただ、マナーとしては当然やめておいた方がいいでしょう。
また「法律的に問題ない」というのも、あくまで「強要しなければ」です。法律上は、どんな小さなことでも強要すれば「強要罪」が成り立ちます。
基本的には上の段落で書いたように、故人が「それぞれの好きな形で形見分けをできるようにしてほしい」という要望を残されていた場合のみ、現金でいただくべきだといえるでしょう。
渡す側も現金を押し付けない
「普通の品物なら受け取るけど、現金は受け取れない」という方も中にはいるでしょう。その場合、渡す側は無理に押し付けないことが大切です。
もちろん「お金のやり場に困る」ということもあるでしょう。その場合は他の遺族の同意を得て寄付金などに回すのがいいかと思います。
「押し付けない」というのは、現金に限らず形見分けの基本なので、この点はよく理解しておきましょう。
包装方法(包み方)
当然ながら「そのまま」あるいは「振り込み」はNGです。まれに税務上の理由などで記録が残る方がいいから、振り込みにしてほしいという要望もあるかもしれません。
基本的に受け取る方の気持ちの方が大事なので、このような要望は、よほど抵抗がない限りは受け入れるべきだといえます。ただ、一般的には「無地の白封筒」を使います。
一筆メッセージを添える
現金での形見分け自体が、少々「そっけない」感じがするものです。そのため、そっけなさが少しでも減り、人間的なぬくもりが伝わるよう、メッセージを一筆添えるのがいいでしょう。
「故人の希望により、このような形見分けとさせていただきました。お受け取りいただけたら幸いです」「形見分けすべき品物がないため、こうした形にさせていただきました。お受け取りいただけたら嬉しく思います」など、文面は何でもかまいません。
顔マークやお花程度のイラストを軽く添える程度なら、誰が相手でも失礼にはならないでしょう。こうした「絵文字レベルの数秒で描けるイラスト」は、簡単な割に効果が絶大なので、おすすめです。
贈与税は原則かからない
これほど高額な形見分けはないとは思いますが、110万円以上だと贈与税が発生します。正確に説明すると下記の通りです。
- 贈与税は「もらう人」が払う
- 年間で110万円以上の場合に払う
- 110万円を「超えた金額」のみ課税される
たとえば、形見分けをAさん一人に対して「120万円」贈ったとします。110万円をオーバーした金額は10万円なので、この「10万円に対して課税」されるわけです。
ほとんどの場合、税率は10%
課税される金額が200万円以下の場合、贈与税の税率は10%です。つまり、金額が310万円までは、税率10%となります(上に書いた110万円の基礎控除があるため)。
そして、現金の形見分けで一人あたり310万円を超えることはまずないでしょう。このため「現金の形見分けでの贈与税率は10%」と考えてOKです。これを先ほどの「10万円課税」のケースで計算すると、贈与税は「1万円」です。
形見分けでかかる贈与税は、多くても1万円~数万円
上のように「一人で120万円」という高額を受け取っても、贈与税は1万円だけなのです。「120万円受け取って、翌年に1万円払うだけ」です。1万円自体は大金ですが、割合からいけば「ほぼゼロ」でしょう。
同様に、もっと大きな金額をもらった場合の贈与税を一覧にすると、下記のようになります。
形見分けの金額 | 贈与税額 |
---|---|
110万円 | 0円 |
120万円 | 1万円 |
150万円 | 4万円 |
200万円 | 9万円 |
250万円 | 14万円 |
310万円 | 20万円 |
さすがに「200万円」や「310万円」などの大金になると、贈与税も大きくなります。しかし、そもそも形見分けでこのような金額を贈ることはありえません。よほどの大金持ちの家庭なら別ですが、そのような家庭では顧問税理士が何らかのアドバイスをされているでしょう。
(310万円以上になると、税率が変わるだけでなく「控除額」が出てきて計算が厄介になります。そのため、上記の表では省略しています)
何にしても、一般的に見て「形見分けではあり得ないくらいの大金」である110万円でも非課税なのです。このため、「現金の形見分けで贈与税を意識する必要はない」といえます。
相続税は関係ない
さらに相続税となると、もっと関係ありません。理由は下の通りです。
- 遺産の合計が3000万円までは、非課税
- さらに「法定相続人の人数×600万円」も非課税
- たとえば4人の相続人がいたら、5400万円まで非課税
不動産も含め、日本で5400万円以上の資産を「一人で残して亡くなる」人は限られています。たとえば持ち家については、夫婦共有名義なら「その人の持ち分は半分」となるのです。
たとえば2000万円の価値の家なら、1000万円となります。上のケース(相続人4人)だったら、さらに現金や株式で4400万円の資産があって初めて、相続税の課税対象になるのです。
こうした家庭は確実に税理士と組んで節税している
こうした資産を持っている方も、確かにいるでしょう。しかし、少数派であることは間違いありません。また、こうした方は生前贈与などのテクニックをフル活用しているものです。顧問税理士のアドバイスも、大抵は数十年などの長期間に渡って受けています。
つまり「形見分けをしてうっかり相続税がかかる」などというミスは、このようなご家庭ではあり得ないのです。このため、現金で形見分けをするとき「相続税について意識する必要もない」といえます。
(例外的に、こうしたことにまったく無頓着な、石油王のような方が形見分けをするなら話は別ですが…)
形見分けの金額
結婚式の引き出物などと同じく「形見分けの金額はいくらくらいにすべきか」と悩む方も多いでしょう。ここでは形見分けの金額についての考え方を説明していきます。
金額の決まりはない
形見分けの金額について「いくら以上」という決まりはまったくありません。一般的な相場や平均金額のようなものもありません。
最近は「形見分けをしない家庭も増えている」くらいなので、金額について意識する必要はほとんどないといえます。
110万円を超えると贈与税がかかる
唯一金額を気にするべきケースとして「110万円を超えるとき」があります。年間110万円以上のものをプレゼントすると、もらう側に贈与税がかかるためです。
この「プレゼント」というのは、時計やバッグなどの品物だけでなく、現金・不動産・自動車など、ありとあらゆる資産が含まれます。とにかく「何らかの利益をただで受け取ったら、それは贈与とみなされる」わけです。
基礎控除による非課税
しかし、その金額についても「ここまでは非課税」というラインがあります。これを「基礎控除額」といいます。その金額が110万円なのです。
もっとも、110万円を超える形見分けはめったにないので、特に気にする必要はありません。また、そのような形見分けをできるご家庭では、必ずといっていいほど顧問税理士がついています。
税理士が贈与税の課税を見落とすことはないため、このようなケースでは必ず指摘してくれます。つまり「形見分けの贈与税は、贈る人やもらう人が特に意識する必要はない」ということです(遺品整理の際に税理士のいうことを聞いている限りは)。
価値の高低ではなく「故人の思い出」が重要
そもそも形見分けとは「故人を偲ぶ品を分け合う」ために行うものです。たとえば人間でなく犬が亡くなったとします。すると、実家から帰ってきた兄弟たちが「俺は首輪」「私はリード(ひも)」という風に、その犬の思い出が詰まった品物を分け合うわけです。
これを人間で同じようにするのが形見分けであり、間違っても「遺産の配分」ではありません。そのため、形見分けで重要なのは「金額の高い・低い」ではなく「故人の思い出がどれだけ詰まっているか」なのです。
高価すぎるものは避けた方がいいが…
基本的に、形見分けでは「高すぎるものは避けた方がいい」とされています。もらった側が恐縮してしまう、不公平が生じてしまうというのがその理由です。
「その人がもらうべき品物」だったら、高価なものでもあり
しかし、高価すぎる形見分けでもOKというケースはあります。「この品物は、この人が受け継ぐしかないだろう」と誰もが納得するものです。
たとえば、射撃を趣味としていた方が亡くなったとします。この場合、ライフルやピストルが「形見」として残ります(遺産というほどではないので)。
ライフルは大体20万円、ピストルは10万円の価値はあります。しかし、これらは射撃をしない人がもらうべきものではありません。
遺族の中に、同じように射撃が好きな人がいて、故人と一緒に射撃の練習や大会に出て楽しんでいたとします。その場合、当然この方がライフルやピストルを受け継ぐべきなのです。
「本来の形見分けの意味」を考える
この場合「高すぎるから」などという遠慮は、お互いする必要がありません。そもそも、他の人は所持する免許がないため、もらっても「すぐ売る」しかないのです(そうしないと犯罪になります)。
このように「最ももらうべき人がもらう」というのが、本来の形見分けです。この人間的なルールに従っている限り、形見分けのやり方で問題が起きることは、基本的にないと考えて下さい。
形見分けのお礼・お返し・手紙は必要?
形見分けの品をもらったとき、多くの人は下のような点が気になるでしょう。
- お礼やお返しは必要なのか?
- 何かお悔やみの手紙などを書くべきか?
ここでは、これらの疑問に答えていきます。
不要(しないのが普通)
形見分けのお礼やお返し、手紙での返事は不要です。これは「ルール的にしなくていい」というだけでなく、「しないのが普通」ということです。
お礼・お返しが不要な理由
これは「嬉しい出来事ではない」ためです。このような出来事を「不慶事」といいます。慶の字は「慶ぶ=よろこぶ」という読みなので不慶事を直訳すると「喜ばしくない事」となります。
お礼やお返しをするということは、その喜ばしくないことを喜んでいるかのような印象があります。もちろん「慰め」という意味もあるでしょう。
このあたりは完全に「文化の問題」です。世界の中には「明るくどんちゃん騒ぎをして死者を送り出すお葬式」をする国もあります。どのような形で故人や遺族をいたわる気持ちを示すかは、統一された考え方がないのです。
このため「何でお礼やお返しをしないのか」と言われたら「それが慣習だから」というのが唯一の答えになります。正しいかどうかではないのです。
お礼・お返しを強制されているわけではないので問題なし
上のように「理由はない」ものの、反発する人は少ないでしょう。というのは「お礼・お返しがない方が楽」だからです。
これが逆で「お礼やお返しが強制」となったら、「勝手に贈られてきたのに何で?」と反発する人もいるでしょう。しかし、そうではないので、特に問題はないかと思います。
手紙は書かなくても、電話・メールなどの連絡はする方がいい
このあたりは一般的な感覚になりますが、形見を受け取って「まったく連絡をしない」という方は、少数派ではないかと思います。もちろん「全然欲しくないのに勝手に贈られてきた」というなら別です。
しかし「故人と親しかった」「遺族との仲も悪くない」「勝手に贈られてきたわけではない」「形見をもらえたことも嫌ではない」という条件であれば、一般的には「一言連絡しよう」と思うのではないかと感じます。
もちろん、このあたりの感覚・価値観は人それぞれです。「こういうとき、連絡しない人は冷たい」などと、ここで述べるつもりはありません。
そのため、最終的には下のような結論になります。
最終的には故人・家族との人間関係による
これはお礼や手紙の有無だけでなく、そもそも形見分け全般にいえることです。どのようにするか、自分はどう関わるべきかは、最終的には「その人たち次第」なのです。
- 故人との関係
- 遺族との関係
- 自分の価値観・気持ち
これらのことに加えて、あくまで迷ったときの参考材料として「世間一般ではどうしているのか」という情報を付け足すべきでしょう。日本人は上記のような条件を無視して、先に「世間ありき」で考えてしまう部分があります。
私ども遺品整理業者としては、「皆様、こうされていますよ」「だから、こうしましょう」とお話しする方が、「セールストーク」としては「楽」ではあります。しかし、ご遺族の方や生前整理をされるご本人が100%納得していない状態で、サービスをおすすめしたいとは思いません。
もちろん、世間に合わせることが悪いとは申しません。「その方が落ち着く」とか「和を以て尊しとなす」というお考えであれば、それはもちろん良いことです。どちらにしても、その方が本当に満足されるような形で、お決めいただきたいと思います。
時計・カメラ・アクセサリーの形見分け
時計やカメラ、指輪やネックレスなどのアクセサリーは、形見の品の中でも特に資産価値の高いものです。こうしたものの形見分けは特に注意が必要なため、その注意点を説明していきます。
資産価値の高い物は、遺産分割協議に加える
結論をいうと「資産」に分類すべき高額な品物は、形見分けではなく「遺産分割協議」に加えるべきです。不動産や現預金などと同じく、遺産分割協議書を作成し、正式に分配するということです。
中には「形見の品なのに、そんな事務的な…」と反論する方もいるかもしれません。もちろん、そのような考え方も一理あります。
その人が「もらおう」としているなら要注意
家族や親族であれば、あまりこのような人はいないかもしれません。しかし「事務的な…」と反論する理由が「自分がもらうため」だったら、その方の発言には注意する必要があります。
あまりこのようなことは書きたくありませんが、残念ながら形見分けの現場では、このようなことが稀にあるもの。形見分けだけでなく「争族」という言葉もあるくらい、相続の場面ではしばしば泥沼の争いが繰り広げられるものです。
もちろん、平和な状態でもそのような疑念をわざわざ持ち込む必要はありません。ほとんどの家庭では、穏便に譲り合って相続も形見分けもできるものです。
しかし、もし「そういう態度でない方」が万が一にでも混ざっていたら、その相手の「無理」を通すことがないよう、人としてあるべき「道理」を強く主張できるようにしておきましょう。
遺品整理をまかせる業者にも注意
こうした資産価値のある遺品は、ごく一部の悪質業者にとっても「おいしい収入源」です。遺品整理を任せられたときに、こうした品物を発見したらさりげなく懐に入れ、換金して自分たちの利益にしてしまうのです。
もちろん、そのような業者はごくごく一部にしか存在しません。しかし、どんな業界でもそのような「悪質な業者」は存在します。それは皆様が働かれている業界や会社でも同じでしょう。
ほとんどの会社・ほとんどの社員さんはまじめに、良心的に働いています。しかし「そうでない会社・社員さん」も、残念ながら存在するのです。
そうした事実がある以上「万が一のトラブルに対する警戒」はしておくべきです。特に「故人の部屋に何があるのか把握できていない」という場合、横領などをしないと絶対的に信頼できる業者だけに、遺品整理をまかせるようにしてください。
(なお、こうした注意点も含め「形見分けで起こるトラブルと注意点」については、下の記事で詳しく解説しています。形見分けのトラブルについて詳しく知りたい方は、こちらも参考になさってみて下さい)
形見分けを英語でいうと?
グローバル化がますます進行している現代、外国人の友達がいる人、国際結婚をしている人も少なくないでしょう。特に外国人の配偶者がなくなったことを、配偶者の友人や家族などに知らせる場合「形見分けを英語でなんというか」が気になる人もいるかと思います。
もちろん、すべての外国人が英語を使うわけではありません。しかし、形見分けの説明は英語でも難しいので、他の言語だとさらに難しいことが多いでしょう(例外的に、形見分けの文化がある国なら逆に楽になりますが)。
ここでは「相手がどんな国の人でも一番伝えやすい言語」として、形見分けを英語で何というかを説明していきます。
Distribution of mementos(形見の分配)
形見分けという風習は日本独自のものです。そのため、英語で「形見分け」という単語はありません。
そのため、少々長い言葉になりますが、見出しの通り「Distribution of mementos」といいます。
- Distribution of…~の分配
- mementos…形見・記念の品
上記の2つを組み合わせて「形見の分配」という、日本語とほぼ同じ意味の説明になります。
より正確に伝えるなら?
実は、上の説明では完全には伝わりません。理由は「mementos」の意味は形見だけではないためです。「記念品・思い出の品」などの意味もあります。
ということは、極端な話「卒業の記念にみんなで何か分け合う」という意味などにもとれるわけです。人が死んだタイミングなら「ああ、亡くなった方のものか」とわかることもあるでしょう。しかし、まったく別のタイミングではわからない可能性もあります。
そのため「亡くなった方の形見の品」という説明を強調すると、「the distribution of mementoes of a deceased person」となります。前半は先ほどまでの説明と同じで、最期に「deceased person」が付いたのが違いです。
- deceased…死去した
- person…人
このように「故人の・死者の」という意味がつき、形見分けの意味が完全に伝わるようになります。
「形見」の発想は海外にもあるのか?
当然ながら、すべての国の文化をここで論じることはできません。そのため、英語圏で人の死に最も関わることが多い「キリスト教」について述べます。
結論をいうと、キリスト教には形見分けの文化はないのです。ここまで「キリスト教で形見分けをするなら、1カ月の追悼ミサのとき」と書いてきました。
しかし、これはあくまで「日本のクリスチャンの風習」です。欧米など英語圏のクリスチャンが、1カ月後の追悼ミサで形見分けをすることはありません。
まとめ
形見分けも含めて、大切な方が亡くなった後は、あらゆる仕事が山積みとなり、消耗してしまうものです。もし消耗してしまったときには、遺品整理の業者も含め、誰かに頼っていただくのがいいでしょう。
誰かといっても、家族ですら大変なことを、親族の方などが手伝うことには限界があります。これらの方にお金を払うのは逆に失礼になるため、どうしても「ボランティア」になってしまうでしょう。
そう考えると、こうした近しい人に頼めることはごくわずかです。精神的な部分では頼りになるでしょうが、物理的な助けとしては限界があります。
「ビジネス」だからこその、気兼ねの要らないサポート
そのため、私どものような遺品整理業者が、遺族の方々のお役に立てる部分は多いと感じております。「ビジネス」である分、ご親族の方にボランティアで動いていただくよりも、遠慮せずにあらゆることを厳しくご注文いただけるでしょう。
大切な方が亡くなっても、多くの方にはお仕事があり、育児があり、学業などがあります。もともと平時でも大変だったこれらのお仕事を、形見分けなどと並行してこなさなければいけないのです。故人を亡くされた後、多くのご家族が疲弊するのも当たり前のことといえます。
「形見分けの段階から」でも、お気軽にご相談ください
弊社みらいプロセスでは「形見分けの段階から」でも、ご遺族の皆様をサポートさせていただきます。
- 形見分けをスムーズに行いたい
- 相続手続きもまかせたい
- 不動産の売却も手伝ってほしい
このようなあらゆるご要望に対応できます。もちろん「形見分けの時期なのに、まだ遺品整理が終わっていない」という状況でも、喜んでお手伝いさせていただきます。
弊社みらいプロセスでは、全国800以上の士業ネットワークにより、弁護士・税理士・司法書士といった士業のスペシャリストをご紹介できます。これにより、相続手続きや不動産整理のご相談にも、ベストのご提案をさせていただきくことが可能です。
形見分けまで進まれた方も、それ以前の段階の方も、遺品整理やその後の手続きでお困りのことがあれば、何でもお気軽にご相談ください。どんな小さなご質問でも、お電話・メールでお気軽に問い合わせいただけたらと思います。
遺品整理のみらいプロセスの対応エリア
遺品整理みらいプロセス にお任せください
遺品整理みらいプロセスは、埼玉・東京・千葉・神奈川の遺品整理、生前整理なら即日にお伺い出来ます。お急ぎの方、現場にはいけない遠方の方など、是非ご相談下さい。