
生前整理とは?必要性や進め方について解説!
最近よく「生前整理」という言葉を耳にするようになりました。
言葉の感じから、「生きているうちに、財産や身辺の整理をしておく」といったイメージがありますが、具体的にはよく分からないという人が多いのではないでしょうか?
しかし、生前整理は、単に片付けや財産整理をすることとは違います。残された家族にとっても、自分にとってもたくさんのメリットがあり、より良い老後と家族の将来を考えるうえで、欠かせないものなのです。
この記事では、「生前整理について知りたい」という人のために、その意味やメリット・デメリットについて解説します。具体的な内容や業者についても紹介しますので、参考にしてください。
生前整理の定義・意味
生前整理とは、一般的に「生きているあいだに自分の持ち物や財産を整理すること」を言います。単に不用品を処分するだけではなく、遺産の分配を決めたり、遺言書を作ったりといったことも含みます。
コトバンクでは、生前整理の意味を以下のように説明しています。
生きているうちに家具や資産など身の回りのものを片づけておくこと。
YAHOO JAPAN ニュースより抜粋
また、生前整理することは、これまでの人生と向き合うことにもつながります。アドバイザーの育成などを行う一般社団法人生前整理普及協会では、生前整理を次のように説明しています。
最後の1秒まで自分らしく生き切ることが出来るように、物・心・情報の整理すること
一般社団法人生前整理普及協会より抜粋
このように、生前整理は片付けや財産整理だけでなく、心の整理をつけるためにも行われます。
生前整理は、亡くなった後に家族が行う「遺品整理」とは違い、本人が生きているあいだに自分の意思で行うのが特徴です。高齢などを理由に、実際の片づけを家族や業者が代行することもありますが、本人が了承していることが前提です。
どうして生前整理する人が増えているのか
親と同居するのが当たり前だった昔とは違い、近年では高齢者の一人世帯が増えてきました。内閣府の調査でも、35年前に比べて男性は10倍以上も増えたと報告しています。
65歳以上の一人暮らし高齢者の増加は男女ともに顕著であり、1980年には男性約19万人、女性約69万人であったが、2015年には、男性約192万人、女性約400万人となっている
内閣府より抜粋
実際に、歳をとって片付けられないままのゴミ屋敷が、死後に放置されるといった事例も増えてきました。また、親の家の片付けに多くの労力やお金を奪われる子世帯の苦労も、ネットなどで多くみかけるようになりました。
このような背景があり、「不用品の処分で、残された家族に苦労をかけたくない」との思いから、生前整理を行う人が増えたと考えられます。
ほかにも、生前整理を行う理由として、次のようなものが多くあげられます。
- 安全で快適な老後をすごすために、家のなかを片付けたい。
- 片付けることで、自分の気持ちに整理をつけたい。
- 遺産相続で家族が争わないようにしたい。
- 施設に入ったり、子供と同居したりするため、家を引き払う必要がある。
このように、亡くなった後の心配を取りのぞき、老後をおだやかに過ごしたいという前向きな気持ちが、生前整理の原動力になっています。
生前整理のメリット・必要性は?
生前整理をすることは、自分自身と家族の両方に大きなメリットがあります。また、安全で快適な老後生活を送るためにも必要です。
では、具体的にどんなメリットがあるのか、自分側・家族側のそれぞれの視点から見てみましょう。
自分側…精神的に落ち着く・快適な環境・転倒防止
生前整理で家財や財産の整理をすることで、次のような効果が得られます。
- 精神的に落ち着く
- 住環境が快適になる
- 転倒による事故を防止できる
このようなメリットは、老後に安心して暮らすために欠かせない要素と言えます。
精神的に落ちつく
生前整理をすることで、これまでの人生を振り返えり、気持ちの整理をつけることができます。このような作業は、多くの人に精神的な安定をもたらします。
また、自分にどのくらいの財産が残っているのかを正確に把握することは、老後の生活設計をするために必要不可欠です。例えば、いざ介護などでお金が必要になった場も、「自宅を売れば施設に入れる」といった確証があれば、むやみに将来を心配しなくて済みます。

住環境が快適になる
家族の思い出がつまった大切な我が家。
しかし、長年住んでいる間に、たくさんの不用品が放置されたままになっていないでしょうか?家族がたくさんいた頃の大きなダイニングテーブルやタンスを、そのまま使い続けいる人も多いようです。
それらの不用品を処分して、今必要なものだけにすると、毎日の暮らしが快適になります。
例えば、大きな家具が少なければ動線がスムーズになり、掃除機をかけるのも楽です。食器や洋服などは、選択肢が少なければ迷う必要がありません。日々の手入れの労力を軽減することもできます。
転倒による事故を防止できる
生前整理で家のなかを片付けることにより、物につまずいて転倒するリスクを減らすことができます。
転倒してケガをする高齢者は多く、なかには介護が必要になる深刻なケースもあります。消費者庁の資料では、65歳以上の高齢者の事故について、次のように報告しています。
介護が必要になった原因のうち「骨折・転倒」によるものは、全体の12.5%(平成28年度)。
消費者庁「高齢者の事故の状況について」より抜粋
消費者庁では、このような事故を防ぐためには、高齢者の生活環境を整えることが重要だとしています。
家族側…死後の負担が減る、相続で揉めない
家族にとっては、次の2つのメリットがあります。
- 家の片付けなど、死後の負担が減る
- 遺産相続でもめない
家の片付けや遺産相続の問題は、残された家族に心身や金銭面で大きな負担を与えることがあります。しかし、生前整理をすることで、その負担を軽くすることができるのです。
死後の負担が減る
親が生前整理をしないで亡くなった場合、空き家になった実家を片付ける子供の負担は、想像以上に大きいものです。
東洋経済新聞が、親の家の片づけをした人を対象に行ったアンケート調査では、片付けのきっかけとして、半数近くが親の死を理由にあげています。
同調査では、親の片付けにかかった時間は、3ヶ月未満が51.1%と最も多く、次いで3ヶ月~半年未満が20.6%と報告しています。
1年以上かかった例も19.1%にのぼり、長い期間が必要な場合も多いことが分かります。
かかった費用に関しては、半数の人が30万円以内でおさまった一方、100万円以上かかったという人も6.1%いました。
生前整理をすることで、上記のような負担を減らし、残された家族に思いやりを示すことができます。
参考:東洋経済新聞『これが「実家の片づけ」に悩む人の実態だ!』
遺産相続でもめない
自分の財産を整理し、遺産の分配を決めて遺言を残しておくことは、死後家族が遺産相続でもめないために重要です。
なかには、「うちにはもめるほど財産がない」と思っている人もいるかもしれませんが、少額の預貯金だけでも、もめるケースはたくさんあります。また、貴金属や着物といった形見の品も、時には争いのもとになります。
残された家族が争って不仲にならないように、遺産や形見の品を誰に残すのか、明確にしておきましょう。できれば、生前に家族と話し合って、全員が納得できるかたちで分配を決めるのがベストです。
遺品・相続のもめ事回避には、次の記事も参考にしてください。

生前整理のデメリットは?
生前整理には、労力や費用がかかるというデメリットがあります。生前整理をスムーズに進めるためには、どのような問題が起こりやすいのかを把握し、対策を立てる必要があります。
労力がかかる
前出の東洋経済新聞の記事でも分かるように、長年住んだ家の片付けには、数か月以上にも及ぶ時間が必要になります。
不用品かそうでないかの選別に始まり、捨てるゴミの分別や粗大ごみの始末などを考えると、多くの労力と時間がかかるのは当然のことと言えるでしょう。また、思い出の品は、処分するかどうかの判断に迷うことが多く、予想以上に時間がかかります。
無理なく進めるには、家族にも手伝ってもらい、計画的に少しずつ行う必要があります。短期間で片付けたい場合には、業者の手を借りるのが現実的です。
片付けだけしたい人には「福祉整理」
「生前整理は必要ないけれど、もっと暮らしやすくするために家を片付けたい」という人には、福祉整理をおすすめします。
福祉整理は、主に高齢者や病気の人の家を対象に、片付けと清掃を行うことを言います。より快適に住めるようにすることを目的としていて、いわゆるゴミ屋敷の片付けもこれに含まれます。
福祉整理の詳しい内容については、以下の記事を参考にしてください。

費用がかかる
生前整理では、主に次のような費用がかかります。
- ごみ処理費用:ごみ袋代や、粗大ごみの処分費用
- 不用品回収費用:不用品の処分を業者に依頼する場合
- 法的な手続き費用:不動産の登記簿を書き換えるための「登録免許税・印紙税」など
- 専門家への報酬:上の手続きを、司法書士・行政書士などに依頼する場合
上記の内容は、生前整理業者に依頼することもできます。業者に依頼すると費用がかかりますが、労力をかけずに生前整理を行うことができます。
生前整理の進め方!具体的にやることは3つ
生前整理で行うのは、次の3つです。
- 財産目録を作成する
- 断捨離をする
- 遺言書・エンディングノートを作成する
生前整理は、財産と家財を整理するだけでなく、遺言書などで自分の意思を明確にしておくことが大切です。
では、それぞれについて、具体的に見てみましょう。
財産目録を作成する
財産目録とは、自分の財産を一覧表にしたものです。生前整理において、遺産の分配を決めたり、相続税の対策をとるために欠かせません。
財産目録には、主に次のような項目を記載します。
- 土地、建物などの不動産
- 自動車や家財などの動産
- 株式・投資信託
- 預貯金
- ローンや借金などのマイナスの資産
財産目録は、自分で作成することもできますし、弁護士や行政書士に依頼することもできます。
断捨離をする
断捨離とは、もともとはヨガで使われていた言葉で、それぞれの漢字に次のような意味が込められています。
- 断:入ってくるものを断つ
- 捨:今ある物を捨てる
- 離:物などへの執着を離れる
つまり、無駄な物を捨てて良くない習慣を改め、より良く生きることを目的にした片付け方法のひとつです。生前整理での片付けは、より良い老後を生きるために行うものですので、断捨離の考え方はピッタリと合っていると言えます。
断捨離の詳しいやり方については、次の記事を参考にしてください。

遺言書・エンディングノートを作成する
自分が亡くなった後、家族に負担をかけないために、遺言書やエンディングノートを作成しておきましょう。
遺言書は、主に遺産相続について記載を行い、誰に何をどのくらい残すのかを明確に記します。法的効力を持たせるには、書式など一定の条件を満たす必要があります。弁護士や行政書士に作成を依頼することもできます。
エンディングノートは、いざ自分が亡くなった時に、家族が困らないための情報を記しておくノートです。現金や預金通帳はどこにあるかなど、葬儀や死後の手続きに必要なことを記載する覚書のようなもので、法的な効力はありません。

生前整理を行う際の注意点
生前整理では、次の2つの点に注意してください。
- 悪徳業者に依頼しないこと
- 遺言書は見つけやすい場所に保管する
ここからは、業者や遺言書のトラブルに対する注意点について解説します。
悪徳業者に依頼しないこと
生前整理の片付けを依頼するのは、遺品整理業者が多いですが、なかには悪徳業者もいるので、注意してください。
総務省がまとめた「遺品整理のサービスをめぐる現状に関する調査結果報告書」では、平成20年度~30年5月31日までに、国民生活センターなどに寄せられた相談件数は、755件に上りました。
相談内容では、次のようなトラブルが多いと報告しています。
・勧誘のトラブル:強引でしつこい勧誘、勝手に作業を始めるなど
・料金トラブル:高額な料金請求やキャンセル料に関するトラブル
・遺品に対する扱い:遺品を勝手に捨てる、粗雑に扱う
・作業内容のトラブル:作業の未実施、途中でやめる、不用品を残していくなど
総務省より抜粋
また、上記以外で多いトラブルに、買取に関するものがあります。
生前整理で出た不用品でも、次のようなものは高値で買取してもらえる可能性があります。
- 貴金属
- 腕時計
- カメラ・レンズ
- 骨董品
しかし、悪徳業者にかかると安値で買いたたかれてしまうことがあり、注意が必要です。

遺言書は見つけやすい場所に保管する
せっかく書いた遺言書も、家族に見つけてもらえなければ何にもなりませんので、見つけやすい場所にしまいましょう。
自宅で保管する場合は、次のような場所が一般的です。
- 金庫
- 机の引き出し
- 仏壇
いずれにしても、家族が「大切なものは、いつもあそこにしまっていた」と思いつける場所にしておくのがおすすめです。
自宅以外では、銀行の貸金庫に預けたり、弁護士などに保管を依頼することができます。
自力で難しい場合は業者に依頼しよう
ここまで見てきたように、生前整理をすることにより、安全で快適な老後生活を送ることができるようになります。また、残された家族に片付けの苦労をかけたり、相続争いになったりするのを避けることができます。
生鮮整理は、自分の最期をおだやかに過ごすためにも、大切な家族にあたたかな愛情を示すためにも、必要なことと言えるのです。
生前整理は、具体的には、次の3つの作業を行います。
- 財産目録の作成
- 断捨離
- 遺言書・エンディングノートの作成
以上のことを全て完了するには、たくさんの労力が必要です。特に、断捨離は、長い期間をかけてやる覚悟が必要になります。
なかには、
「施設に入るので、急いで家を引き払う必要がある」
「体調が悪くて、思うように作業ができない」
という人も多いでしょう。
その場合には、業者の手を借りることをおすすめします。片付けを依頼できる業者は色々ありますが、生前整理の業者なら、次のような面倒な事柄をすべて任せることができます。
- 家の片付け
- 不用品の査定・買取
- 各種手続き代行
業者を選ぶ際には、古物商許可証などの必要な免許をもった、優良な業者を選ぶようにしてください。
今回の記事が、より良い老後と、生前整理について考えるきっかけになれば幸いです。
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